菜の花のお話

□─僕とルーク─
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─あの日の出来事が、僕とルークの絆をより深めたんだと思う。






ルークが家に来たのは、僕が9歳の時だ。
その時はまだ生まれたての赤ん坊だったけれど、今ではもうすっかり大きくなってる。


僕とルークはいつも一緒だった。
ごはんも、寝るのも、遊ぶのも。
ただ、僕が大きくなるにつれて一緒にいれる時間は短くなる。



そして僕が12歳の時に、事件はおきた。



その日は、朝からルークの様子が少しおかしかった。
ずっとそわそわして、落ち着きがなかった。
だけど、そんなルークに構っている暇はなく、僕はいつも通り学校へ向かった。


部活を終わらせ家に帰ると、なぜかルークの姿が見当たらない。
いつもなら僕のベットでごろごろしてるのに、そこにルークの姿はなかった。
少し心配になって、家中を探したが見つからなかった。

僕は初めての事に、焦っていた。
ルークがいなくなるなんて今までなかったからだ。
僕は考えるよりも先に、身体が動いた。


外に出て、ルークを探した。
猫は死ぬ時は飼い主の前から消えるって言うし…そんなことが何度も頭をよぎる。



ルークを探して、二時間くらいが経った頃、僕はやっと見つけた。
僕とルークが毎日のように行っていた公園で、ルークはいたんだ。
そして僕を見るなり、目の前に来てちょこんと座った。
待ってたよと言っているかのように。



きっと、ルークは僕と昔みたいに遊びたかったのかもしれない。
僕はルークを抱え、昔のように滑り台やシーソー、砂場で遊んだ。
ルークは、とても嬉しそうだった。



僕は肝心なことを忘れていたんだ。
ルークは家族だ。
いくら時間がなくたって、言葉が通じなくたって、僕とルークは家族だ。いつも一緒なんだ。







あれからもう8年が過ぎ、ルークはもういない。
だけど、ルークと過ごした時間を忘れることは、ないだろう──

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