菜の花のお話

□─桜咲く季節─
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ひらひらと舞い落ちる桜が私の頬をかすめた。

今、目の前に広がるこの光景とも、もうすぐお別れなんだなって思うと、すこし悲しくなる。

小学校の時は「中学楽しみだな」なんて思ってたけど、いざ入ってみると嫌なことばかりで、ずっとずっと学校なんか無くなればいいって思ってた。
先生も嫌いだったし、正直嫌いな子もたくさんいた。
中学に入ってからは「早く高校に行きたい」と思ってたのに。


それなのに…どうしてだろう。
この気持ちはなんだろう。
胸の奥に渦巻くこの感情は。
楽しかったことを思い出すと、涙が溢れて止まらない。
泣きたい訳じゃない、でもこの涙を止めるすべはなかった。
楽しかったこともつらかったことも、すべて私にとってのたった一度しかない中学校生活。
授業中寝たり、友達と喧嘩したり、それはあたり前でよくあることだったけど、今思うとその瞬間しか出来なかったこと。
口には出さないけど、みんなと離れたくないしずっとこのままでいたいと心から思う。
だけど、時間は待ってくれなくて…
これからは、みんなそれぞれの道を歩む。クラスのみんなも、学年のみんな、もちろん私も。
みんなに会えて本当によかったと、心から思う。本当に。
とっても幸せな時間だった。
だからこそ今、過ぎて行くこの時間一秒一秒が、とっても輝いて見える。





私はきっと忘れない。
私の大切な思い出。みんなと過ごした記憶。
───きっとまた、桜の咲く頃に思い出す。すばらしい三年間の日々を。

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