絵空事

□゛ひなまつり″
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灯りをつけましょ 雪洞に
お花をあげましょ 桃の花
五人囃子(ばやし)の 笛太鼓
今日は楽しい 雛祭り





゛ひなまつり″






――――――――――――1.




「ねぇねぇ銀ちゃ〜ん! アレ何アルか? あいつらいったい何してるネ?」


そう言って朱毛をお団子頭にしたチャイナ服の女の子、神楽は隣りでうたた寝していた銀時を叩き起こした。

そんなたわいもない(?)質問に対し、台所でお茶という名の白湯を淹(い)れていた万事屋の従業員兼雑用係の眼鏡(新八)が応える。

「…なんか最近僕の扱いだんだん酷くなってっているんですけど。」


「いつものことアル」

「いつものことだな」

「ちょっ…二人して言わないでよ!! あ゛ぁ゛もぅなんかツッこむのもしんどくなってきたわ!!」

『ツッコミだけが僕の取り得! それがもう役に立たなければ生きていけない。 そうだ死のう――』

「オイいい加減変な言いがかり言うの止めろ管理人ンンン!!!」




「で? 結局何なんですか今回は?」


そう言って眼鏡は眼鏡をクイッと上げ、淹れてきた粗茶を飲みながら先程まで万事屋の事務所兼リビングとなっている場での展開について質問する。

『ちッ。 誰もお前の意見なんざ聞いちゃいないけど一応聞いといてやるよ。』

「ホント何で僕だけこんな扱い!?」

『なんとなくだヨ』

「なんとなくかよ!!(怒)」



「で、さっきから何を騒いでるんですか二人して?」


と、そう言って新八はだいぶ温くなってしまったお茶(もとい白湯に近しいモノ)をズズッと啜(すす)る。

流石は眼鏡兼ツッコミ担当である。

先程の事はもう洗い流して(?)目の前の状況についてコツコツと取り組んでいく。

「あんまり騒がない方が良いですよ二人共。 先月の家賃まだ払ってないどころか、この前の(原作女性人激太りの回参照。)神楽ちゃんが床下ブチ抜いたのだってまだ修理してないんですから。 もしお登勢さんに気付かれたら…」

ムシかコラ。

「あぁん? 別に俺ぁ騒いでねぇよ。 約一名は明らかにテンションおかしいケドも。」

「私だって騒いでないヨォ! ただちょっと変なもの見て銀ちゃんに聞いてただけネ!」

「変なもの?」

「別に対したモンじゃねぇよ。」

「新八、こっち来てアレなんなのか説明しろヨ! どうせそういうのしか能が無いんだからよ

「神楽ちゃんンン!!?」

何でまた標準語!?

と、そんな騒ぎながらもなお騒いでないと言い張る二人に対し、絶叫しながらもどうしたのだと同じく窓際へと立つ。


と、そこでは―――



お内裏様と お雛様様
二人並んで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顔





「ほらアレ、あいつら何してるネ?」


そう言って神楽はしきりに外、つまり窓から見える大通りの一角を指差している。

そこには彼女と同じぐらいかそこらの、近所の女の子達が可愛らしい着物を靡(なび)かせながら楽しそうに歌っていた。

「あぁ。 あれは゛雛祭りの唄″だよ」


「ヒナマツリィ?」

「そう。 ああやって女の子達は雛祭り、つまりお雛様の日を祝うんだよ。 そっかぁもうそんな時期かぁ」

「そのヒナマツリって結局何するアルか?」
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