・Novel
□四月バカ(火黒)
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「火神君…、僕は海常に転校します。」
部活の休憩中、黒子はいつも通りの無表情で信じられない事を言った。
「…どう言うことだよ。」
やっとの思いで出した声は情けない程に掠れていた。
「そのままの意味です。僕は海常に転校します。」
「なんでっ…!!一緒に日本一になるって約束したじゃねぇか!!
…もし、もしオレが力不足だって言うなら絶対強くなる。だから行くな!!頼むから…行くな、黒子。」
みっともないくらい必死になっているのはわかってる。でも、絶対に黒子を海常になんて行かせたくなかった。
「スミマセン…もう、決めたんです。」
黒子はオレの目を見ながら淡々と言った。
「黒子…」
「休憩終わりー!!始めるぞ!!」
オレの言葉は練習の再開を告げるキャプテンの声に遮られた。
「ほら、練習始まりますよ。」
黒子はオレの横をすり抜け、他のチームメイトの方へと足を進めた。
結局問いただす事も出来ぬまま、練習は再開された。
黒子と何も話せないまま練習は終わった。
先ほどのことを悶々と考えながら着替えをしていると、携帯がブーブーと震えだした。
携帯画面を見れば黒子からのメールで慌ててメールを開く。
黒子からのメールにはこう書いてあった。
ーーーーー
from:黒子
件名:嘘です。
本文:
今日はエイプリルフールですよ(笑)
騙されました?
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「〜っ!!」
(黒子のヤロ〜!!)
オレは持っていた携帯が壊れそうなくらい握り締めた。頭の血管も何本かブチブチっといった気がする。
「あ?」
しかしもう一度携帯に目を落とすと、まだメールが続いていることに気付いた。
十数行スクロールした後、ついに続きの文を見つけた。
ーーーーーー
引き留めてくれて嬉しかったです。
絶対に僕が他の学校に行くことも、他の人の影になることもあり得ませんよ。
僕は火神君のモノですから。
火神君、愛してます。
これは嘘じゃありません。
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怒りは一転、嬉しさに変わった。
オレは黒子に返信を送り、帰り支度を急いだ。
さて、この可愛い四月バカにどんな仕返しをしてやろうか。
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from:火神君
件名:
本文:
本気で驚いたじゃねーか!!(怒)
今日はウチ泊まりに来いよ。
ぜってー仕返ししてやるからな!!
オマエがイヤって言ったって絶対誰にもやんねーよ。
黒子、愛してる。
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(嘘も冗談も好きではないけれど、君にどれだけ愛されてるかわかるなら一年に一度くらい嘘をつくのも悪くないです。)
END.