・Novel

□今日、僕は人を殺します。(火←黒)
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ー憧れはいつから恋に変わるのだろうか。ー


恵まれた体格、天性の才能、飽くなき挑戦心。そして何よりもそのバスケに対する姿勢。
火神君のバスケに関する全てに憧れた。
ー光だ、そう思った。
だからそんな彼の影になろうと思った。

そしてやはり火神君は思った通りの人だった。
火神君とのバスケは凄く楽しかった。
彼となら日本一を目指せる、そう思った。


でも、いつからだろう。
火神君への気持ちが憧れだけではなくなったのは。


多分、自分はそういった性癖ではないと思う。

でも、マジバで会う度に嬉して、くしゃりと頭を撫でられる度に体温も心音も跳ね上がった。
そして火神君とのバスケが、火神君と一緒にいれる事が何よりも幸せになっていた。
 
それが恋だと気付くには時間はかかったけど、気付いてしまったらもう止められなくて…
日に日に火神君の事が好きになっていった。

火神君に好かれたい。
僕の方を見て欲しい。
火神君が欲しい…。
そんな欲望が膨れ上がっていった。

火神君は僕のプレーを認めてくれた。
一緒に日本一になると約束してくれた。
それたけで充分じゃないか…
なのに君の影以上のモノになりたい、なんて…
自分がどんどん欲深くて汚くなっていくのを感じた。

嗚呼、きっとこの想いはやがては彼の邪魔をしてしまうんだろう。


だから、
「サヨナラ、です。」

火神君に恋した僕。







ー僕は今日、人を殺しました。
君に恋してしまった愚かな僕を。ー


(愛して、なんて言いません。
でもせめて影として君の側にいさせて下さい。)


END.
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