・Novel

□日本の冬はやっぱり炬燵(火黒)
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「なぁ、黒子」
「…なんですか?」
「暇だ。」
「僕は暇じゃありません。」


何度呼び掛けても同じ反応をする黒子に火神は溜め息をついた。
今日は部活も休みで、2人は黒子の家にいた。
読書をし始める黒子に倣い火神も最初は読書をしていたが、いい加減飽きていた。
だが何度話し掛けても黒子は素っ気ない返事をするだけである。


(あー‥暇だ)
炬燵の温かさにこのままふて寝をしてしまおうかと考える。
すると黒子はふと読んでいた本から顔を上げ、此方を見つめてきた。

「火神君は背中寒くないですか?」
「は?」
突然何だ、と黒子を見返す。
「炬燵って座って入ってると背中は寒いんですよね。」
「あー確かにな。でも今日はそんな寒くないからそんなに気になんねーな。」
「火神君は寒くなくても僕は寒いです。」
黒子は眉をしかめた。今日はまだ暖かい方なのだが、寒さが苦手な黒子にとって辛いらしい。
「なら何か着りゃいーじゃねーか」
そう火神が言うと黒子は少し考えた様子を見せた後不意に立ち上がった。 
「失礼します。」
「なっ…黒子!?」

急な黒子の行動に火神は驚いた。
黒子は火神の開き気味に座っている脚と脚の間に腰を下ろしたのだ。
ーつまり火神に後ろから抱きしめられる形になるように黒子は座ったのだ。ー

「背中が、寒いんです。」
「は…?」
黒子の行動の意図が掴めず固まっている火神に黒子は言った。
「背中が寒いんです。
だから…暖めてて下さい。」
黒子はそれだけ言うと再び小説に目を落とした。
 
 
 
 
また2人は黙々と読書を続ける。

火神はふと思い出したように黒子の髪を弄ったり、甘えるように項に顔を埋めたりした。
黒子もそんな火神の様子に抵抗も文句もなく甘受する。



先程と同じ静かな室内。
なのに満たされてるのは、
(コイツに触れてるから、か)
自覚すれば幸せを感じ、火神は目の前の温もりを強く抱き締めた。



(しょうがありませんね、火神は。)
気付かれないような小さな溜め息をつく。

(……背中温かいです。)
火神の温もり、偶に与えられる髪を梳く手の感触、全てが心地良い。
強めに腕を回されればより愛おしくなり、黒子は自分を包む温もりに更に身を委ねた。




ー日本の冬は

炬燵と(ついでにミカンも)

小説と(ゲームでもいいけれど)

それから君が居ればいい。(一番必要です。) ー


END.
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