short story

□黒猫は丸くなって眠る
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ふと、目が覚めた

汗がなんだかダラダラ出てる…そういや怖い夢を見ていた気がするなぁ

どんな夢だかは全然覚えてないけど、この感じはたぶん…香織と出会う前の、あの頃の感じとリンクする


「…………はぁ」
右目をなんとなく触れてみる

いつもは人目に晒さないように眼帯をつけているけど、寝ている時は別だ

それに…香織の目の前だもん、ありのままの自分を出来るだけ見て欲しいじゃない?


「…眠れないな」


隣では心地好い寝息をたてている大事な人がいる

起こさないようにそっと…髪の毛に触れてみた、…本人はコンプレックスに感じているこの髪の毛に


なんで嫌なのかなぁ〜俺は可愛いと思うんだけど…
香織朝早くから髪の毛セットするもんね〜もしかしたら出勤前のほとんどはセットの時間なんじゃないかってくらい


…ほとんどその間寝てるんだけどね、俺は


そんな事を考えながら指先で香織の髪の毛で遊ぶ

ふと、視線を顔に向けるといつも愛しい香織がすぅすぅ眠っている


…この目も、この鼻も、この口も


全て愛おしい
起きていたら、この目できっと冷たい視線も熱い視線も届けてくれて

この鼻でキスをしてくれるんだろう、まだ香織はお子ちゃまだから香織からしてくれるキスは鼻と鼻のキスだもんね

この口で、罵声も言えば震える声で俺に愛の言葉を囁いてくれる…罵声の方が明らかに多いけど
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