short story
□節約
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『あれ?なんかゴミ減ってる…?』
俺が違和感に気付いたのはコレが初めてだった
明日は燃えないゴミを捨てる日だ。この前出張で出せなかった分、大量だろうなと思っていたがそんなでもなかった
ついでにアルミやスチールの缶類もまとめたらコチラも同じ、特にアルミ缶なんて軽い軽い
『……なんでだ?』
ゴミがない事は家計にも環境にも優しいという事だが…ここまで劇的に違いが出ると少々疑問を持つ
あんまりしたくはないが、少しゴミ袋をあさってみる。中には俺が買った缶コーヒーや栄養ドリンクのビン、ドレッシングのビン等が見受けられた
『ん?』
なんかいつもと違う
あさっていた手を一旦止め、俺は頭の中で一生懸命この違和感の正体を探る
いつもある物が無い…気がするな、なんだ…?
『あ』
そうだ、アイツの酒類のビンと缶が異常に少ない
そりゃあんまり飲むなとうるさく言っていたのは俺だ。けれど今まで素直にアイツが減らした事だなんて一度も無い
なのにこんな…減るなんて…
『おい米良』
「なぁに〜香織v」
語尾にハートを付けるな、27歳の大柄男性が
『お前、酒の量減らした?』
まとめ終わった燃えないゴミと缶類のゴミ袋を玄関に移す
それを見て米良が質問の内容を理解したらしく、「あぁ」という声を漏らした
「あんまり飲むと身体に悪いから控えてるんだよ」
『…そうか……』
まぁその通りだよな、米良もようやく改めたという事か
違和感の正体も分かってスッキリしたので、俺はそのままこの会話を忘れる事にした