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□架空恋愛
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「好きですよ」
ひどく低い声でその甘美な言葉を私の耳元で囁いた。
毒を盛られたように、私はもう動けなくなる。
「リフィル…」
そう私の名前を呼ぶくせに
私の肌に触れるくせに
この紅い目は、この白い手は、
私を見て、触れて、別の…あの人を見ている、触れている。
この人にはあの人が必要なのだ。昔も今も。
似てるんですって。愛する人に。
だから彼は私を手放すことが出来ない。
なんて酷い男。
でも
それでもいいから彼に愛されたいと思ったのは私で、泣いているのも私。
「すきよ」
背中に腕を回して抱きしめる。
その時一瞬彼が目を見開いた気がしたが、多分見間違い。
「すきよ」
愛してるわ
だから
あの人をかぶせないで
あの人を着せないで
あの人を見ないで私を見て
私のエゴイズムが醜い形になって宙に浮かぶ。ああもう早く消え去って。
(恋愛スピリッツ)
きっと目の前にあの人が現れたのなら、彼は私を捨てて捕まえに行くでしょう。
ラジオでチャットモンチーの「恋愛スピリッツ」聞いて衝動的に書いたぶつ