戦
□まがい物
1ページ/1ページ
※バトルヒーローズ佐助ストーリーの軽くネタバレです
琵琶の音色は美しかった。
ああ、そうだ。美しい。
金色の忍が守ろうとしたそれは、自分にとっては何も価値がないもので雇い主である彼にとっても価値がないものになっただろう
(「郷も聞くかね。あの忍が命を懸けて守りたかった音を」)
密書という名の琵琶の楽譜は、もうどこかに放り投げてある。雇い主はまるで生き物を扱うように楽器を奏でた。
その音に、聴き入る
そこにまた、冷たいものが混じる
「これはこれは。郷は完璧な忍と聞いたがね。」
音が止まると雇い主の、人を惑わす為の声が聞こえた
「………」
「美しいものを愛でる感情が残っているようでは貴公はまだ完璧な忍ではないな」
思い切り振りかぶり、主は琵琶を地面にたたき付けた。
その拍子に弦が響き不快な音を出す。
美しいものを生み出すそれは、無惨に捨てられた
「さて、まだ貴公には仕事が残っている。行くとしよう」
「……?」
「上杉と武田の…郷と同じ、まがい物の忍が来る」
愉快愉快と笑う主の背中を、手にした刃でぶすりと刺したくなった