□白い月
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白い月


鮮明に輝くのは、記憶に残るあの日々
だけど一つ一つ思い出すたびに、
あぁもう戻らない
もう、あの頃の彼女には会えない
もう痛いくらい思い知らされる
あいつは愛に飢えすぎていたのだ
見つけた愛が本当の愛だと信じきって
どこか遠くへ行ってしまった

月はすぐ傍にあるような気がして実はものすごく遠いところにある
俺はどうしても捕まえたくて両手で天を仰ぐけど、捕まえられるはずもなく
寂しさ抑えきれず泣きたくなるけど、涙はとっくに枯れてしまった

彼女を捕まえてどこかへいこう
そしてあの日々に戻るんだ

そんな悲しい妄想だけでも救われた
何故か心が軽くなったんだ
きっと、そこでかすがが笑っていたから



俺らは両手を汚しすぎた
でも心の中で輝くのは、思い出だけで
陽だまりが心地よくて、隣には君がいて、優しい気持ちに慣れたあの頃
いつまでたっても大切な俺だけの宝物

太陽の光は忌々しく、隣には誰もいなくて、愛を捨ててしまった今
俺はやっぱり君を探している
どうにもならないことは知っているし、だからって現実逃避をしているわけではない

唯、悲しすぎて。苦しすぎて。悔しすぎて。憎すぎて。
愛しすぎて。
たまらないだけ。

ねぇ、かすが。きっとお前は知らないだろう
誰の為に命があるのかを

命なんてさ、自分のためにしか使えないんだぜ

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