□Love addict
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※裏表現有り注意。
意味がご理解ができてOKな方だけどうぞ。













なにを引き金として彼にこの行動を取らせてしまったのか、考えてみても全く分からない。
私は彼に押し倒されて白いシーツの波に呑まれ、ただ呆然と正面にある彼の顔を眺めることしか出来ない。怖い顔。背筋が、ぞっとした。
「ジェイド…」
試しに名前を呼んでみたが彼は無言で私を見るばかり。そしてぱさりと髪が顔にかかるにつれて段々と顔が近付いていつしか唇と唇が重なり合っていた。あまりにゆっくりだったから抵抗出来たはずの力が全く出なくて、されるがままになっていた。これから起こるであろう行為に恐怖はなかったが不安はあった。彼の事は密に愛していたけど体を重ねるなんて欲は持っていなかった。と、いうよりか周りの環境があまりに健全過ぎるが故にそのようなこと思いもしなかった。ぬるりと入り込んできた熱は私の中を蠢く。舌と舌を絡み合ったり重ねたり吸ったり。唾液が口の端からこぼれ落ちて頬を伝いシーツを汚した。それでも息をすることを忘れたかのように彼は私を貪り、求めてきた。嗚呼私は全部受け止められてるかしら?乱れていく息を吸い込むかのようにもっと深く深く口付けた。



重なり合う胸と胸。首筋に付けられた赤い印。こぼれ落ちる様々な雫。荒い息。彼の指が舌が体が行う甘く執着な愛撫にもうとめどない快楽に溺れて、私は堕ちていた。まるで食されてるような気分に陥った。もう体の一部が彼の物になった気がした。
彼はずっと眉間に皺をこれでもかと寄せていて。何時もは不敵な笑みを浮かべる口元は荒い息を吐き出す為にだらし無く開けてある。頬を染め、汗をかき、一心不乱に私を求め涙を浮かべる彼はもはや私の知ってるジェイド・カーティスとは別の男になってるような気がした。でもそれは、彼が彼の厚い厚い面の皮を破って、ただの人間の男として私に欲情して求めてくれてるのだと途中で気が付き、本当にうれしくと焦がれる程に愛しく思った。


不意に顔が近付いてきて何回目か数え切れないキスを私に注がれる。今度は放れないように私が彼の後頭部に手を伸ばし引き付けた。彼は驚いたがすぐにまた熱い抱擁とキスを私にくれた。しばらくして離れたらガラス越しでない赤い瞳と視線がぶつかった。私は初対面の時この赤が怖いと思った。宝石のような赤い冷たい目。でも今は何よりも愛おしい彼の一部。
赤だけじゃない。奥の奥に揺らめく炎のような彼本当の色。


「好き、よ」


だから。貴方を全て見せつけて。



「もう…駄目です。貴女がそんな事言うなら私は堪えきれない。越えないと決めたのに。言わないと決めたのに…!」
「ジェイド…」

迷い子のような表情で、ジェイドは何故か混乱していた。切羽詰まった言葉遣いは彼がどんなに戸惑っているかを感じさせる。




「愛しています」

「あ」

嘆きと同時に滴り湿った熱いものが攻めてきた。辿って辿り着くまでに私は何度も自分のものとは思えない甘い悲鳴を叫んだ。激しい振動の中堪えず私からは喘ぎが、彼からは私の名前が、放たれた。熱い熱い熱い。もう溶けてしまっている。体も頭も心も、彼と。

愛に狂うとはこういうことなのか。















「何を、へこんでいるの」


事情の後。二人ともけだるい体を起き上げる気力も無く、べとべとした体のまま同じシーツに包まっていた。先程の事が嘘のように、波の音や小さく声が聞こえてきた。…部屋、防音らしいけど、大丈夫かしら。
少し落ち着いた私は何故か哀愁漂う背中をこちらに向けて寝転ぶ彼に声をかけた。しかし振り向きもせずにらしくない、枕を抱きしめて段々体を小さく丸めていった。


「ジェイド…?」


肩を叩けば嫌々と首を奮う。
なんだこれは。まるでこちらが無理矢理だとかそんな感じになってるじゃないか!被害者面してこの野郎。
と、若干怒りを込めて渾身の力で彼をこちらに向かせる。
長い髪を顔に付け、見えた彼の顔は、


「…あ」
「……………」

……………長い沈黙が続く。


「ジェイド」
「………なんです」
「顔、真っ赤」


ただでさえ色白でほんの少しの色でも映えて見えるのに。頭のてっぺんからシーツが被さる胸の辺りまで、全血液が集中して集まったかのように彼の体は赤かった。長い時間熱を浴びたように。

顔に手を当てあーうーと言葉にならない唸り声を上げたりと、本当別人のような行動をとる。

何故だかこちらも恥ずかしくなってきて口元を手で覆う。

「見ないで下さいよ」
「いや…だって…」


まじまじと観察すれば堪らなくなったのか私はジェイドに突然強く抱きしめられた。胸板に頬がぶつかって離れない。成る程これなら自分の顔を見られない。ああ、全く。可愛い人。

「…だってまさか、四捨五入して40歳になって、自分で自分を止められなくなるくらい余裕を無くして女性を求めるなんて…思いもしませんよ。恥ずかしくて堪らない」
「私に欲情?」
「はいそうですよ!ええ、貴女がいけない!あまりに無防備で危なげで儚くて、こんなに美しいから」
「な、ふざけた事を言わないでよ」
「冗談なんかじゃありません。髪からたまに見える耳や、白い首筋、赤い唇。貴女は私にとって最も魅力的で、何よりも愛しい女性です」

何か吹っ切れたようにジェイドは叫ぶ。恥ずかしくてこちらが赤くなる番だった。



「なんなのよ…!」
「あーあーもう知りません。私は知りませんよ何が起きても。言葉にも行動にも表せないくらいに残念ながら私は貴女を」



愛してる


甘い低い言葉に表せない美しく優しく厳しく悲しく嬉しく憎く愛らしい彼の声。耳元なんて反則よ。私これ、事情中されてたら多分昇天してしまう。どんな愛撫よりも私を快楽の底へ沈める。

嗚呼駄目また疼く。愛して欲しい求めて欲しい。


引き金なんて余るほどあるのだ。不器用な恋愛しか出来ない私達には。












リク:ジェイリフィ甘微裏風味


(土下座)
微裏どころじゃない気がする。
ジェイドヘタレっぽくてすいません。でも私の中では彼は本命にこんなかんじです。あれです。メロメロってやつです(笑)

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