□優しい男
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長曾我部の部屋には熱帯魚がいる。

名前も分からないやけに小さい魚が一匹だけ。
昔はもっといたらしいが皆な死んでこいつだけ残ったらしい。

よほど大事にしているみたいで、いつも水槽は水は透明で苔もなくピカピカだ。

「名前は?」
「ない」
「何をいう。スーパーペドロ号と我が名付けただろうが」
「色か!色のせいか!?紫色だからか!?そんな名前付けるか馬鹿!!」

元就と遊びにいったときそんなこと言っていた気がする。

「この大きな水槽にひとりぼっちって可哀相だな」
「まぁそうだけどよ」




ある日、夜中メールがきた。長曾我部からだ。


外で待ってろ


一行だけの文章

パジャマから着替えて外に出て待ってやる。

バイクのうるさいエンジン音が近づいてきた。

「よう」
「なんだこんな時間に」
「ちょっと付き合え」

何か悲しそうにそういうと長曾我部は私にヘルメットを無理矢理被した。しぶしぶバイクの後ろに乗っかる。

またうるさいエンジン音が響きバイクは動き出した。


「なあ!!」
うるさいので大声で叫ばないと聞こえない。
「どこへ行くんだ!!」
「海だ!!」
「なんで!!」
腰に回していた手で長曽我部の腹の当たりをつねる

「いてぇ!頼むから黙ってついて来てくれ!」




海に着いたときはもう日が少し昇ってた。
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