贈り物
□秘密の約束
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細く白い指は黒光りする拳銃を握り、その銃口を向けているのだ。私に
「お前を許さない!!」
帰蝶は泣いていた
あのお方を失って
そして怨んだ
私を
おかしいですね
私は帰蝶との約束を守っただけなのに
あのお方は帰蝶を傷つけ泣かせたから、やっつけただけなのに
「貴女は誰が憎いですか?」
「ふざけるな!お前が上総之介様を殺したのだろ!!!」
涙ながらにして叫ぶ彼女の姿は悲しくて
誰が彼女を傷つけたのだろうか
あ、私だ
気付いたらもう体は動いていて
「貴女を傷つけるものは全てやっつけます…幼い頃貴女と約束しましたね」
振り上げた鎌がえぐったのは自分の腹
彼女を想えばこれも愛しい感覚
「光秀!?」
嗚呼、愛しい愛しい帰蝶。これで貴女の涙は止まりますか?
「やっつけましたよ。貴女を傷つける人を。ほら、これでもう泣くことはないで
す」
「…!!」
屈折した純粋な愛が報われることはないと知っていた
死に至る前にもう一度見たいのは約束の先にあった
「さあ、笑って」
約束を守った私にご褒美を下さい