□first confession
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さてどうしたもんかと考えてみても、佐助の行方は分からないので戻る事にした。
夜風に震えながら戻ると、孤児院は静かだった。ここは相変わらず適当で、捜索等はしなかったらしい。
私は見付からないようにこっそり自室に戻るとそこには探していた佐助と、何故か風魔がいた。


「貴様!?何処にいたんだ!!」
「こっちが聞きたい!小太郎の部屋でゲームしてたらかすがが裏庭に出て行くの見ちゃったからいてもたってもいられずに!なのに小太郎がかすがの部屋で帰りを待とうなんて言うから仕方無しに…」
「死ね!!」


ボコンとグーで額を殴る。

「私はお前を探しに外出たんだから!」
「はぁ!?」
「お前がどこにもいないって言うから、もしや真田の敵討ちに独眼竜の所に行ったのかと……!」

結局小太郎が止めるまで言い争いは続いた。

私も自分の事で手一杯で、悩み事が多くなってあの時の事を忘れ掛けていた頃。


「よっ」
「な」


屋上で黄昏れていると、寂れた扉が乱暴に開く音が響いた。何事かと振り向くと晴天の下、あの夜では陰った表情しか見えなかったあの男が当たり前のようにそこにいた。

「貴様!?」
「ここセキュリティやばくね?普通に校門から入って来れたぜ。優しい道案内が教えてくれたんだ」
「うちの生徒脅したな」
「いや?そのへんの輩に金髪のgirlを探しているって聞けば東中のアイツって百発百中だったぜ。有名人だな」
「…何しにきた。頭突きのお礼参り?」
「言うねぇ。あの時も思ったんだが、どうやら頭の悪い不良の相手に慣れてるようだな。だが、女子供には手を出さない主義なんだって言ったろ」
「どの口が。失せろ」
「話がしてぇだけだ」


どっかりとフェンスにもたれ掛かる。ポケットに手を入れた所で、この様子だとまた煙草を取り出すな、と思い構えていると、中から現れたのは棒付きキャンディー2本。今禁煙中なんだと見透かされたように笑われた。

「どっかの女にパチった箱投げられてからな」
「へー」
「まずは自己紹介だ。My name is 伊達政宗。制服見りゃ学校は分かるだろ?」
「有名な坊ちゃま学校だな」
「お前は」
「貴様に名乗る名前など無い」
「かすが、だろ」
「チッ」

どうせ案内人とやらに聞いたのだろう。舌打ちすればケラケラ笑う。


「お前は真田幸村の女か?」
「はぁ!?あいつとはただの友人だ」
「へぇ。不良の扱い慣れてるのは彼氏がそうだからと践んでたんだが」
「…周りにそういう輩が多いだけだ。こんな髪色だから絡まれるし、外人と間違われる」
「そりゃご苦労なこって」
「厭味なんだが」
「OK。気付いている」


「真田幸村とまたBattleしんだが昨日の敵は今日の友?意気投合した。」
「………」

にへらぁと笑う顔とそのお守りの男にあの馬鹿共は、と心の中で思う。

「そん時にお前の話を聞いた」「………」

もう一度、言葉に出来ない蔑みを浮かべる。
余計な事を、と。

「まさにBingoって思ったぜ」

「俺、アイツに殺され掛けたんだぜ」
「はぁ?」
「アイツ大人しそうに見えて殺人キック食らわせにくるからマジ焦った」
「ああ…」
「そんでこう見えても体ずたぼろ。そんな中で西海の鬼の敵討ちにあっちまって五分五分でなんとか逃げ延びた。それがあの夜の状態」
「自業自得じゃないか」
「助けてくれて、Thank you」
「ふん」
「んで俺は奴らにもう一度戦いたいわけだ」
「はぁ」
「お前は真田の友人だ」
「だからどうした」
「分からないか?」
「?」

何処から湧き出る自信に満ちたあの鋭い視線が向けられ身体が固まる。
二つ目の棒付きキャンディーを、まるで刀の切っ先を向けるように私に渡しながら、叫んだ。


「つまりはなぁかすが!俺とつるまないか?真田幸村との戦いに備え色々聞きたい。それにお前面白いし、俺見て怖がらないし、何より美人で俺のTypeだ!」


青空を背中にして、この男は何を言っている。まるで青春ドラマの一コマみたいな状況に呆れて物も言えない。

馬鹿だなぁ、恥ずかしいなぁ、腹立つなぁ。
でも心底嫌えないのは何故だろう。気に食わないのに、何故か笑い出してしまう。


「そういうのは、素直に友達になって下さいとか言うもんだぞ」
「ばっか。んな事恥ずかしくて言えるかっての」
「今の状況の方が、恥ずかしいからな」


照れ隠しに飴を舐めた。
甘い甘いチョコレートの味がする。



「なぁ」
「ん?」
「お前何処のハイスクール受けるんだ?」
「ああ…昨日決めたんだ。私は、






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