記
□君を想う
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※裏表現あり
意味の解る方でOKの方だけどうぞ。
「あ」
ふらりとやってきた腐れ縁の男に私は当たり前のように押し倒されて、嗚呼、そうだ。なんだか寂しそうな顔にまた抵抗出来なくて、至る所まで来てしまったんだ。普段は敵対する私達なのに、月が明るい寂しい夜にこうやって抱きしめ合って何かを想う。何故かそんな日々が続いていた。
胸に張り付いた赤い花に、体中を這う男の唾液。後悔するのはもう遅い。もう私の中にこの男が入ってきてしまっている。その熱に快楽と確かな喜びを感じている事は、許しがたい事実であった。
「かすが…?」
私の真上にいる男は、突然媚声ではない声を上げた私に驚いて動かしていた体を止めて、目を見開いていた。いつもの飄々とした表情ではなく、真剣な表情で私を抱いていた。
「なんでも、ない」
「そう」
一言そう言えば、また腰を動かし始める。襲ってきた快楽に歯止めが効かず私は声を上げた。
私は私の今までの人生の中、何度この男に抱かれただろう。もしかしたら数え切れないかもしれないし、数えるまでもない回数かもしれない。最初の頃とは比べものにならないくらいたくましくて硬い体。ただ時間が過ぎるに連れてこの男は確かに変化しているはずなのに、窪みを埋めるようにぴったりと重なる私の体。引きちぎった紙をまた元通り一枚につなぎあわせたように、私とこの男は二人でひとつという存在のようで、と思考した途端どうしようもない胸の苦しみと吐気がした。
「かすがっ」
「・・・佐助」
いつものように、へらりと笑って。
「愛しているよ」
名前を呼び合う事すら危ういのに今更何をほざくのだ。愛しているとか、そんな言葉など。
「はっ、ずいぶん、嬉しそうだな」
「だって、かすがと一緒にいれるのよ?嬉しいって言葉に表せないほど舞い上がってんだぜ」
幸せそうに笑うものだから、なんだかこそばゆい気持ちになった。でも、嬉しくて嬉しくて。流れる涙は喜びの味で。
「っ!わ、私は嫌いだ!」
「はは、泣くほど嫌いか」
本当の気持ちを誑かす癖はどうにかならないのだろうか。
ああ、そうさ。私は昔からこの男に惚れていて。嘘でもいいから愛されたくて。傷付きたくないから嘘付いて。嘘嘘嘘、なにもかも、嘘。
「馬鹿ぁ」
「はいはい、ごめんね」
慰めるように、口付けをしてきた。絡み合う舌や唾液に愛しいと思う気持ちが抑えきれなくて、いつのまにかこちらから積極的に舌を絡めていた。
終
リクエスト:佐かす 微エロ 甘め
(言い訳)
甘くない・・・。戦国で佐かすがのエロもので、甘いのは頑張ってもこれ以上浮かばなかったです・・・。すいません!!