妖蔵小説

□PROVOCATION
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 暗黒武術会決勝戦前夜。

 妖狐は静かにベッドの上の蔵馬を見下ろしていた。
 穏やかな寝息をたててはいるが、身体は緊張している。気の昂ぶりがおさまらないのだろう。
 わずかに音を立てさせようものなら目覚めさせてしまう。
 枕元に一輪の花を置いた。
 微香が部屋を漂う。

(――――お前はそのまま眠っていればいい)

 匂いを吸い込まぬよう鼻を押さえ、ベランダに出る。
 風が煽るように妖狐を迎えた。


(ヤツはオレが倒す)



 白装束が夜空に舞った。
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