「……………………」

「……………………」

私はとても困っている。それはもう、晩ご飯の一品に練り物が入っていた時の土井先生くらい困っている。ね、分かるでしょ、すっごく困ってるって事が。
何でだろう。何で私がこんなに困らないといけないんだろう。誰か教えて。教えてくれるなら今日のお茶受けに買ってきた、美味しいって噂になってた店のお団子あげるから。

「…………っ先輩!」

「な、なに?」

かれこれ十分ほど私と見つめ合っていた久々知君が漸く口を開いた。いきなりだったから驚いて一歩後ろに下がると、下がった分だけ久々知君が距離を詰めた。
こ、怖……。お、落ち着こうぜ久々知君!忍を目指す者はいつでも冷静にいかないとっ。どーどー!

「あ、あの……先輩に、聞きたい事があって」

「う、うん。なに?」

「えっと、そのっ」

何か迷っているような感じの久々知君は、僅かに頬を染めて恥じらってるように見えた。お、おぉ……これはもしや、あれですか?惚れた腫れたとかアイタタタとかなあれですか?
え、ちょ、ちょっと待って、私…久々知君は言い後輩だとは思ってるけど、そう言う風に見た事は無くて……!
久々知君のが移ったのか、いつの間にか私の頬まで暑くなってきた。どうしようどうしようどうしたらいい!?

「っ先輩!」

決意したように、開いていた距離を全部詰めた久々知君は、私の両手を掴んだ。その真剣な表情に胸がトクリと高鳴ったのは、きっと気のせいじゃない。

「先輩は豆腐は好きですか!?」

「……………………………………は?」





後から分かった話。それは彼なりの告白の仕方だったらしい。

「俺の好きな物を先輩も好きなら、俺の好きな物を好きな先輩は俺の事も好きなんじゃ無いかと思って……」

「んな訳あるか!」






別名豆腐小僧の勘違い。
2009,1,22〜4,20まで拍手夢でした!


[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ