Novel

□だからそうだと言ったのに
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いつだって
好きなんだよ?

だからそうだと言ったのに

 まさかこうなるなんて思ってもみなかった。
 潤む瞳。紅く染まった頬。漏れる吐息。
 チョコレートボンボンを食べさせただけでこうなるなんて。

 それは遡ること一時間前。日吉はなぜか高そうなチョコレートを持っていた。

「何それー、跡部の?」
「あ、いや…これは女子から…」

 申し訳なさそうに言う姿に、気を遣っているのだと感じた。
 確かにちょっぴり憤りを感じたけど、ここは年上の余裕ってやつを見せなきゃね。日吉、可愛いし。

「へ〜そうなんだ!おいCそうだね〜」
「……食べます?」
「日吉が貰ったんだから、ちゃんと食べてあげなきゃその子が可哀相だよ。ほら、あーん。」

 適当にひとつ取って日吉に食べさせてあげた。
 日吉は少し躊躇いながらもそれを食べてくれた。

「おいC〜?」
「まぁまぁ、です。アンタ、チョコ好きですよね?」
「うん、好き〜」
「じゃあ、どうぞ。」

 チョコを差し出されて今度は俺がたじろいだ。

「俺、甘いのは苦手だから、芥川さんに食べてもらったほうが嬉しいです。」

 日吉にそう言われると、やっぱり食べるしかないだろう。
 チョコは、とろけるような甘さが、口の中に広がり……ってなんだかこれおかしな味がする。
 そうか、これ高い奴だからチョコにお酒が入ってるのか。

「日吉、これお酒入り…って日吉?」

 ためしに俺も日吉と同じ種類のチョコを食べてみたけど、俺が食べたやつとは、かなりお酒の量が違うみたいだ。
 日吉は酔っていると思う。
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