Novel

□てをつなごう
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さぁ、
お手をどうぞ。

てをつなごう

いつまでたっても、跡部と手を繋ぐための決意をするのは、忍足にとってすごく苦労するものである。
手を繋げたとしても、忍足は手汗を滲ませながら、「汗いややんなぁ!」と、手を離して一人で歩きだしてしまうのだった。

勿論、忍足がそれで満足しているわけではない。
キスは出来るのに手は繋げない。
なんていうエゴイズム。

「な、なぁ跡部っ?」
「アン?どうしたよ。」
「あっ…いや、なんでも……あらへん。」
「?変なヤツ…。」

そう言うと、跡部は忍足に笑って見せる。
忍足はそんな笑みに、引き攣りながらも笑い返した。

「本当、どうしたんだよ。」
「ほんま、なんでもないって。」
「風邪か?大丈夫なのか?」

跡部は、忍足の額に自分の額を宛てると、「熱はないな」と呟いた。
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