Novel
□不器用な僕等
1ページ/9ページ
忘れていた、わけ
じゃない。
ただ、
思いつかなかったんだ。
不器用な僕等
そんなのは、ただのいいわけだ。
ジロー自身もそんなことにはとっくに気付いた。
ただ、日吉が日々そわそわしていることとか、さりげなく言ってる言葉には、これぽっちも気付けていなかった。
12月4日午後11時58分。
日吉は、なぜかジローの家の外で立ち止まっていた。
「(違う、これは違う…。たまたま、ちょっと…用事があった、だけで…。)」
心の中で、当ても無い言い訳を考える日吉は、白い息をはきながら、寒々とした外で呆然と立っているようにも見えた。
そんな日吉にジローが気付いたのは、ジローの兄が、日吉に気付き、ジローを呼び止めたせいでもあった。●●