北天のアンドロメダ

□プロローグ
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その会話に気付いたジェフも、画面右上を見たが何も無い。
「気のせいだろ」
とジェフ。それでもセイヤは「む〜…」とか言いながら画面右上を見る。何か凄く嫌な予感がする。そんなセイヤを見てジェフは、やれやれまいったと言う表情をしていた。同時にその時だった。画面右上の光った部分に黒点が現れ、次第に黒点は大きくなっていく。点から線へ、そして面から立体へと。その物体の後ろで又、キラッと光る何かを見た。物体は瞬く間に肉眼でもはっきり見えるくらいの速度で液晶に現れた。
「…嘘だろ!?…おい」
そう呟くセイヤをジェフとレイラがTVに視線を戻した瞬間―――

ドカッ!!!

轟音と立ち込める黒煙の中、シルト宮殿が炎に包まれていた。右往左往に悲鳴が聞こえる。周りの人々のパニックに陥った形相。逃げ惑う人々に押されたのか映像がぐらぐらとぶれる。画面に出てきた物体の後ろにいた何かが、空中を旋回し街を爆撃していた。特徴的な角々としたボディ、台形のような主翼・垂直尾翼、あのスタイルを持つ機体は…
「F/A-22…ラプター!!」
レイラが細い声で呟く。その機体が画面の中で飛び回っていた。単機じゃない、30機を越えている。
その内の1機が翼を翻した時、セイヤは主翼に描かれた国旗マ―クを見て呟いた。
「ジェキドヴェルク!?」
セイヤの思いがけない単語に2人は耳を疑った。

正式な国名はジェキドヴェルク連邦共和国。
メルトレミン大陸南部の大国。
国土は北インジュニア大陸圏ヴェル共和国と同等。
この国家と関わった国々は戦争の絶えない日々が続いた。
そして敗戦した諸国はジェキドヴェルクの統治下に置かれ、二世紀にも渡り支配が続いた。
しかし、19世紀に起きた第一次世界大戦の波に乗り敗戦した各国家が次々と独立を果たした。その後、各国は連合を結成し、ジェキドヴェルクとの緊張感が常に敷かれていた。その後、ジェキドヴェルクは第二次世界大戦から内戦、そして冷戦、停戦協定が置かれるも右翼派の攻撃を受け、迎撃に転じて現政権が実権を握り今に至る。平和の回復、街の復旧に勤しんでいるはずのジェキドヴェルクだ。何故、またも戦火を拡大させるのか定かではない。過去より蘇る悪夢。
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