空白の時間

□片想い
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ディスプレイには珍しい名前が表示されていた。


「あっ!テンさんだ…」


なんだろ?こんな時間に電話なんて?
やましい事なんて何もないのに妙にドキドキする。


『あっ!ユメ?こんな時間にごめんねぇ〜そこにカズさんいる?』


なんだか騒がしい音と一緒にテンさんの声がした。私じゃなくカズさんに用事があるらしい。


「いますよ?代わりましょうか?」


チラリとカズさんを見れば…自分に用事か?と気付いたらしくポケットから携帯を取り出していた。


「あっ…着信ある…」


カズさんが呟いた。


『やっぱり。カズさんに携帯電話は携帯するように伝えてくれる?』


テンさんは呆れたような声で言うけど…


「携帯…ポケットにいれてたみたいです」


『携帯してて気付かなかったの?それじゃあもう携帯の意味がない!』


テンさんが大笑いした。
カズさんはそういう人ですよ。


「代わりましょうか?」


ビクビクしてる様子のカズさんを見つめながら…もう一度尋ねる。


『あーいい。今日同室だったからカズさんに頼もうと思ってたんだけど…ユメの方がいいかも。ちょっとキラ迎えに来てくれない?』

「えっ?」


賑やかだなぁとは思ってたけど…テンさんもカラオケ行ってたんですか!!元気ですね…


『なんか…キラ今日は最初からハイペースで呑んでて…かなり酔ってるんだよね(よ〜ってなんかぁ〜なぁいでぇすよ〜つぎ!あたしぃ!ドリカムぅ〜!)イヤ…酔ってるから!…って感じなのよ』


テンさんの後ろで明らかに酔ってると思われるキラさんの声がした。


『私が連れて帰ったらいいんだけど…他にもヤバいのがいてとてもキラまで介抱できない(テンさぁんさっきからぁだれと喋ってるんですかぁ!さおり淋しいですぅ)だぁー!!わかったから離れろ!』


今のはさおりだねぇ〜その後ろでも騒いでるのがわかる…言葉としては聞き取れないけど…


『というわけだから…迎えにきて!!今ならまだ起きてるから…寝ちゃう前にお願い!』


テンさんの声に必死さが伝わってくる。

「わかりました。今から行きます!」


とりあえずテンさんが大変そう…キラさんの様子も気になるし…場所をメモして迎えに行くことにした。


「私達も行こうか?」


ヒロさんが声をかけてくれたけど…キラさん一人なら私だけでも大丈夫でしょうし…せっかくのオフ前夜…二人で過ごして下さい。


「私一人で大丈夫だと思います。それとカズさん今夜部屋替わってもらってもいいですか?」

「私は全然かまわないよ!寧ろ大歓迎!」


カズさんが大袈裟に手を広げてニッと笑った。
ありがとうございますと頭を下げてキラさんを迎えに夜の街に飛び出した。



 
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