妄想作話3
□いつもと違うだけで…
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バン!
突然目の前に扉が現れて驚いた。
通りすぎようとした部屋の扉が開けられたのだ。もう少しでぶつかる所だった。
扉の後ろからヒョコッとユウさんが顔を出した。
「ごめん!リエ…当たってない?」
心配そうな顔で覗き込まれる。危ないって注意しようと思ったのに言葉が出なかった。
いつもキュッと後ろで結ばれてる髪がほどかれてて…いつもより可愛いくみえてドキッとした。
何も言わない私を心配して近付き目の前で手を振る姿が幼くて…歳上だということを忘れてしまいそうになる。
「リエ?大丈夫?」
「…大丈夫です…」
「本当に?ぼ〜っとしてるよ?」
「あぁ…ちょっとみとれてました」
「ん?何に?」
「ユウさんに…」
思わず抱き締めそうになった手をギュッと握りしめて…ニカッっと笑えば頬を赤くしたユウさんに叩かれた。
「もう!本気で心配して損した」
「びっくりしたのは本当ですよ。気を付けて下さいね」
なんでもない振りをして注意する。うっかり溢してしまったセリフ…冗談にして。
「は〜い。あっ…テンさんに呼ばれてたんだ!ごめんね」
そう言い残して彼女は走り去った。
ローカの角を曲がる時フワッと髪が舞い上がってやっぱりドキドキした。
好きだなんて言ったら…彼女はどんな顔するんだろ?
爪の跡がついた掌を見つめて溜め息ひとつ吐き出した。