妄想作話3
□雫となって落ちた瞬間
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「リカさん?どうかしましたか?」
「ん?あぁちょっとぼ〜っとしてた!大丈夫」
にっこり笑えばユキも笑った。その笑顔をみて確信した。
あぁ…ユキの事が好きだ
けれど…ユキに気付かれるわけにはいかない。
この関係を壊したくない…無駄だとわかっているけれど私は自分にいい聞かせる。
『気のせいだ』と『錯覚だ』と…
いつもの様に彼女に触れた。きつくテーピングが巻かれた左足を掴み大丈夫かと問う。
思っていたより自然に出来た。
「大丈夫です」
少し苦しそうな表情をしたが直ぐに笑顔を返してくれた。
そう…いつもの様に…
再びコートに戻っていくユキの背中を見つめ…ホッとしたような淋しいような複雑な感情に小さく息をついた。