妄想の塊

□あなたを括り付けたい
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その直後、針が刺された。
へ「っつ・・・!!」突如襲った痛みに、
ヘラは顔を歪めた。それを愉しそうに
見るユノ。
ユ「あぁ・・・何度貴方のその顔を目の前で見たいと思ったことか・・・」
へ「き、さまぁ・・・!!」
殴りかかろうとすれば、見えない糸が
手首に食い込んだ。それどころか、
手首だけではなく太腿や脇腹、腕、
そして首・・・ありとあらゆる部位に
巻きついているので少しでも動こうものなら深々と締め付けてくる。
へ「何故、こんな・・・クッ」
首が圧迫された。
ユ「さっきも言ったように、貴方のその
顔が見たかったのですよ。見えないものに
縛られ、抵抗も出来ずダメージを与えられ
端正な顔を苦痛に歪める貴方を・・・
さぁ、そろそろ始めましょうか?」
ユノがヘラのシャツのボタンに
手をかけた瞬間、ドアが開いた。
べ「ユノ!お前何して・・・!?」
突然入った邪魔に、ユノは眉を寄せた。
ユ「貴方こそなんですか、ベスタ?
ノックもせずに急に入ってきて」
べ「ウェヌスがミーティング始めるって」
ユ「ちっ仕方ありませんね・・・ヘラさん、また今度遊びましょ?」
へ「なっ・・・!?」
一瞬の内に、目の前が暗くなった。
次にヘラが目覚めた場所は、
世宇子の医務室だった。
ベッドの周りには、イカロスやアルテミス
、アフロディ、ヘパイスなど大勢いた。
へ「ん・・・ここ、は・・・?」
ア「目が覚めたかい、ヘラ」
アフロディがカーテンを閉め、他の者に
話を聞かれないようにした。
へ「アフロディ・・・?俺は確か、呂雄真
学園の・・・」起きたばかりなので口が
思うように動かない。そして、自分の
真新しい記憶の糸をたぐる。
へ「ヘラ、お前4日も眠ってたんだぞ?」
ヘパイスが呆れながら言う。
へ「4日も・・・そうか・・・4日も・・・!!おいっ俺なんで医務室にいるんだ!?どうやってこっちに戻ったんだ!?」やっと本来のヘラが目覚めたらしく、聞きたいことを一気にぶちまけた。
ヘラの腕に繫がっている点滴がブラブラと
揺れるのを抑えながらアルテミスが言った。
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