妄想の塊

□あなたを括り付けたい
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冷たい部屋の中で、ヘラは目覚めた。
それと同時に全身の痛みと、
両手首に感じる違和感に気づいた。
目には見えないが、硬い糸で
縛られているらしい。
へ「くっ・・・ここは、何処だ・・・?」
ユ「目覚めましたか?」
パチンと電灯が点けられ、呂雄真学園の
ユノの姿が現れた。その表情には
いつもの微笑が浮かんでいたが、
何処と無く得体の知れない気配も
漂わせていた。彼はヘラの前に屈み、
顎をクイッと上げさせ視線を合わせた。
ユ「ようこそ、ヘラさん。僕の
家庭科室へ」冷たく突き刺さるような
声が耳に響く。
へ「何が目的だ」
ヘラはユノを睨みつけたが、彼は
クスクスと笑っただけだった。
それを不快に思い、ヘラは声を
荒げた。
へ「何がおかしい!!」
ユ「いえ何も。ただ・・・そんな可愛らしい姿で凄まれても、俺を煽るだけですよ?
フフッ・・・」にこやかに微笑みながら
言うが、どうやらヘラに何かする気らしい
ユノは、裁縫箱から針と糸を取り出した。
ヘラは少したじろいだ。
へ「な、何を・・・!!?」
ユ「フフフッ怯えてますね・・・貴方のその顔、素敵ですよ」そう言いながら、
ヘラの額の傷跡を針でなぞった。
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