※布都彦→連載主(学園パロ、甘)






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暇だ。



誰もいない教室の中、ひとり机にうつ伏せる。



チラリと腕の隙間から時計を見る。




5時15分。



部活がある人は真っ最中。ない人はない人で家にでも帰ったのだろうか、教室に来る人の気配すらない。



何故こんなところで暇を持て余しているのかというと、クラスメイトであり親友である布都彦を待っているからであって。


当の本人は数学の補習中だ。


まったく……、オレより点数悪いなんて数学苦手にもほどがあるだろ…。


このオレでさえ赤点ギリギリ免れたというのに布都彦の点数を見て愕然としたのを覚えている。


0に近かったあの点数をオレが見ていることに気付いたのか慌てて点数を隠す布都彦は見事なほどに真っ赤だった。







「暇すぎるー…。あ、そうだっ」




イスから立ち上がり、少し後ろに離れた席に移る。



ここは布都彦の席だ。



なんだか黒板が見易くてズルいと思ってしまう。



布都彦の席だとオレの席、良く見えるなー。授業中後ろ向いたら目が合ったりしないかな。




遅すぎる腹いせにそうやって何か企んでいると、廊下からパタパタと走っている足音が聞こえた。



きっと布都彦だ…!



とっさに顔を伏せ眠たフリ開始。苦しくなるといけないので顔を少し横にずらした。


よし、これで完璧だ。













──ガラガラッ


「葵殿っ!申し訳ありませぬっ、試験が長引いてしま、…い…」




大きかった声が段々小さくなり、静かになった。


きっとオレが寝ていることに気が付いたんだろう。



しめしめ、引っ掛かったな布都彦っ。






「葵殿……お眠りになられていたのか…」




足音がこっちに寄って来た。


それは隣に来ると止まって、イスを引く動作音。



今目を開けるとバレてしまうので分からないが、おそらくは隣の席に座ったのだろう。








「……可愛らしい寝顔だ」





ポツリと呟かれたその一言にびっくりする。




ふ、布都彦っ…?





「きっと私が悪戯をしても気付かないのだろうな…」




独り言を漏らす布都彦。



…今目を開けたら布都彦はどんな顔をするんだろう。




布都彦のことだからやっぱり驚いてイスから転げ落ちたりするのかな。










「………」





静寂が、訪れた。



でも視線を感じるのが分かる。



うぅっ…、寝顔見られてるみたいで恥ずかしい気分だ。








「…………葵殿…」






小さく、それはまるで囁くように名前を呼ばれドキリと胸が変に高鳴る。



横でまた動作音がした。



これは確かイスから立ち上がる音。



こ、このまま帰っちゃったりはしないよなっ…?










「……っ」





机にそっと手が置かれた気配に小さく息を忍ばせる。



ま、まさか悪戯する気か布都彦っ…!




そう思っていると、次は頬に手が触れて。



でもその手つきがどこか優しくて、悪戯とは程遠いなと疑問に思っていると、それは訪れた。













──…っ。





「……Σは!わっ、私は何をっ…!///」





そっと離れた唇。



少しして何をしたのか気付き慌て始める布都彦。





……今、オレ…、キスされた…?











「〜〜っ、破廉恥であるぞ布都彦ぉぉぉおお!!///」




ガタガタと机に当たる音と共に足音が廊下へ飛び出した。



布都彦が教室を出ていくと同時に顔を上げ、両手で真っ赤になっていた顔を覆う。



え、えーと……、








どうする、オレ…///












【狸寝入りにご用心】
葵殿の可愛らしい寝顔に邪な想いを抱いてしまった…。あの方は男性であるというのに、私はなんと破廉恥なことを…!






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