ユメヲミルウタ

何よりも悲しい世界で必死に生きた人達がいた。

   ―ユメヲミルウタ―

ずっと降り続ける赤い雪。
とどめなく降るその雪に消えてゆく定めの世界。
少しずつ黒く染まっていき光を失くしていく月。
そこでは夢を見ることすらも許されなかった。
高い高い岩に囲まれたその場所で静かに死んでいくと分かっていても必死に生きた、いのち。



第一夜 
  ―ヒメ―


走っても走っても追いつかない。そんな状況の中私は絶望する。
思わず崩れ落ちて、心が折れそうになる。
追いつかない。
まだ、まだ……
そうしてついに折れてしまった私の心は涙となって体から溢れて止まらなくなる。
嗚咽をあげる。
遠かった影が少しづつ近づいてくる。
安堵感でしゃっくりが止まらなくて

 

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