小説

□あまのじゃく
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人が恋をすると、なかには相手に優しくするのではなく、相手をいじめたくなるタイプの人がいる。

おそらく、私もそのタイプの人間だろう。どういう心理なんでしょうね。メロを見ると好きなのにいじめたくなるんです。むしろ、怒らせたい…要は、からかいたいんです。

馬鹿ですよね、嫌われるだけなのに。

でも、やめられないんです。


「おい、ニア。」
「はい、なんでしょう?」
「なんで?は、僕のセリフだ。なんで、お前が僕のベットにいるんだ?」

そう、今私は朝からメロのベットに侵入した。メロをいかにも不機嫌そうな顔をして私を見ている。

「メロに会いたかったからです。」
「別に、朝食を食べるときに顔を合わせるだろ。」
「ふたりきりで会いたかったんです。と、言うかメロの可愛い寝顔が見たかったんです。」
「気持ち悪いこと言うな!もう!さっさと出ていけよっ!」
「嫌です。メロはこれから着替えですよね?しっかり見させて頂きます。」
「は?ふざけるなっ!誰が見せるかよ!出ていけよ!」
「おや?自分では着替えられませんか?じゃあ私が…」

そう言いつつ、メロのズボンに手をかける。

「うわぁ!よせっ!離せって!」

バタバタとベットの上で騒ぎ、両手でズボンを必死に掴んでいるメロ。そうされると、余計に脱がせたくなるんですよね、私。

「いいじゃないですか。見られて減るもんじゃあるまいし。」
「減る!僕の自尊心がっ!つーか、減る減らないの問題じゃなく、お前に見せたくない!」
「そう言われると、ますます見たくなります。」
「変態っ!離せよっ!」

「あのさ〜…、ロジャーが早く朝食食いに来いって言ってんだけど?ニアも嫌がってんだから、やめてあげたら?」

声の方を向くと、マットがドアを開けて、腕組みしながらこっちを見ている。私は、目線をそらし舌打ちをした。

「はい、そこっ!舌打ちしない!」
「そんなこと、どうでもいいから!マット、助けろっ!」
「はいはい、お姫様」
「姫とかいうな!キモい!」


私はマットに邪魔をされたので、仕方なくメロのズボンから手を離し、メロから離れた。

「マット。次、邪魔をしたら許しませんから。」
「ええ〜、俺は朝食に呼びに来ただけなのに。」

いけしゃあしゃあと…。明らかにタイミングが邪魔する気満々ですよ。

「とにかく!僕は着替えるから、二人とも外に出てろ!」
「仕方ありませんね。今日のところは退散してあげます。」
「ふざけんな!二度と入ってくるな。」
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