小説
□君の声
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見事なほど、俺の体には無数の穴があいた。
痛みより熱さを感じ、ジワジワと体中の感覚が鈍くなり、意識が朦朧とし俺はその場に倒れた。
夜空にくわえた煙草の煙が上っては消えてゆく。
最後に見る景色が、煙草の携帯と夜空とはねぇ。贅沢だけど、最後にメロの顔が見たかったな。欲を言えば、キスをして抱きしめたかった。
俺が死ねば、メロは自分を責めるんだろうなぁ。涙なんて流してくれるんだろうか。
いつもみたいに「このバカマット!」て言ってくれるかな。
ごめんな、メロ。きっと俺だけは助かるようにしてくれてたんだろ?その気づかい無駄にしてごめん。
でも、メロがいない世界なんて、生きていけない。メロが死んだ世界に残されなくて良かった、なんて思ってる俺。かなり自己中たよな。
でもさ、メロ。Lが死ぬまで、俺は普通に年をとって、人と同じような幸せを夢見てたんだぜ。
メロと一緒に暮らしたり、キスしたり、ケンカしたり…。じいさんになるまで一緒にいられるって思ってた。
でも、ニューヨークで短い期間だけど、そんな感じだったよな。
ケンカもたくさんしたよな。ハウスでも、再会してからも。
俺はほんといい加減な事ばっかりする軽い男だけど、メロに対しては誠実だったんだぜ。
メロ、俺は先に逝くけど、お前がくるのはうんと先でいいよ。
goodbye mello.
俺は、薄れゆく意識を手放し、目を閉じた。
何故だろう…メロ…お前の声が聞こえる…。
謝んなよ…。
end
→あとがき