S-NOVEL

□Can't forget your love
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一際目を引く紅の髪
汚れを知らない澄んだ瞳
無邪気な笑顔
出会った瞬間、全てが強く私の目に焼き付いた。
いつの間にか、その人を目で追っていた。
彼の笑顔につられて自分まで頬が緩んでいた。

これが恋なのだと気付くに、そう時間はかからなかった。





[Can't forget your love]





ほぼ全ての生物が眠りにつく深夜。
ルーク一行は、久しぶりのベットの柔らかさに身を委ね、安らかな寝息をたてていた。
今回の街から街への移動は5日もかかり、旅に慣れていない(外の世界に出るのが初めてのような)ルークにとっては、かなり辛かっただろう。

そんな彼らだが、一人だけ、枕元のランプを付け、ペンを走らせている者がいた。
メンバーの中で最年長のジェイドだ。
彼はいつも、寝る前に日記を書く。
軍に入った時から書いていたそれは、今では旅の日誌のようなものになっていた。
モンスターとの戦闘回数や、手に入れたアイテム、戦争の状況。
気付けば、いつも埋められなかった一番下の行まで埋められていた。

今日の分を何とか書き終え、ジェイドは息をついて日誌を閉じた。
使い回しだったせいか、そろそろページ数が危ない。

”明日雑貨屋に買いに行きますか”

ジェイドはふと、隣のベットで眠るルークを見た。
やはり疲れていたのか、よく明かりで目が覚めてしまう彼が起きない。
ジェイドはおもむろに立ち上がると、ルークのベットの傍に行き、ルークの顔を覗き込んだ。
長く綺麗な紅の髪は、月明かりに照らされいつもと違う色合いになっている。
寝顔はとても穏やかだ。
髪をそっと撫でると、僅かに身じろぎした。
知らず頬が緩む。
相部屋になったときのひそかな楽しみだ。
またそっと撫でると、今度は手に擦り寄ってくる。
と、ルークが小さく口を開いた。



「…ガイ。」



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