ピオルク部屋

□pollinosis
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花が咲き乱れ、様々な生物が目覚めの時を迎える春。
マルクト帝国首都、グランコクマでも、色とりどりの花や街路樹が花開いていた。

人にとって少々厄介なものを撒きながら






pollinosis






「はっくしゅ。」
「おや陛下、風邪ですか?」
「いや、なんか最近くしゃみとか鼻水が止まらねぇんだ。」

言って手を伸ばし、ティッシュを取って鼻をかむ。ぽいっと捨てたごみ箱は、ティッシュが今にも溢れそうだ。

「まぁ馬鹿と何とかは風邪をひかないって言いますからねぇ。その症状からして花粉症でしょう。」
「お前それ俺を馬鹿って言ってるんだな?そうなんだな?」
「おや、自覚がおありでしか。」

にっこりと宣(のたま)う幼なじみを一睨みして、またむずむずしてきた鼻をティッシュで押さえた。今日は何度こうしたか。

「しっかし、花粉症なんて今までなったことないぞ?」
「花粉症は突然なるものです。陛下みたいな人もいれば、幼い頃から毎年悩まされる人もいるんですよ。」
「大変なんだなぁ。」
「そういえば、今年は花粉の量がすごいそうですから、もっと辛くなると思いますよー?」
「…お前、楽しんでないか?」
「他人事ですから。」

それはそれは楽しそうに笑うジェイド。語尾にはーとが付きそうだ。
と、ドアからノック音が響いた。

「陛下、失礼します。」
「どうした。」
「ルーク様がお部屋に入りたいそうです。」
「?あぁ、入れてやってくれ。」

いつもならノック無しに自分で入ってくるんだがなぁと思っていると、ドアが開かれた。

「とうさま〜!」

入って来たのは、目に入れてもまっったく痛くない(by陛下)息子のルークだった。
両手一杯に花を抱えて。
その姿のなんと可愛いらしいこと。ピオニーは急いで立ち上がってルークに駆け寄った。





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