コラボ小説

□迷探偵を起こさないで 8
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「何を言っている? お前がどうしてそんな所にいるんだ!」


怒った芥川は、葛城の胸元を掴む。


「編集長!」


慌ててやめさせようとした堂森だったが、葛城の口元が不敵に笑んだままな事に気が付いた。


「その子の言っている事は全部本当だよ。俺が保証する」


「何を根拠に!」






「だって。本人がそう言ってるんだからさ」







「!!!!!!」







ハッとその場にいた全員が息を飲むが早いか、芥川に締め上げられていたはずの葛城の姿は、消えていた。


「どこにいった?」


「どういう事じゃ?」


混乱に陥る者達をあざ笑うかのように、高らかな笑い声が響いた。




「ハーハッハッハッハ!! こっちだよ、こっち」




そう言って、窓辺で笑う男に、一同声を失う。
そこにいたのは葛城ではなく……………








「長かったなあ。2年も俺を待たしやがって。もう見破る奴なんか現れないと思ってたのにな」








楽しそうに笑う男は、深いグリーンの目をもつシャープな顔立ちの美男子。
黒髪をしっぽのように頭の後ろで一つにくくっている。


「まさかこんな子どもが、俺の手口を見破ってくれるとはなあ」


ちらり、と少年に視線を向ける男の目には、純粋な興味の色が溢れていた。


「お前。まさかC7…」


「ねえ。名前、教えてくれよ。本当の名前」


芥川の言葉を遮り、男は楽しくて仕方ないと言わんばかりに少年に向かってそう言った。


「本当の名前も何も、わたしは上杉景虎。少年探偵だ!!」


「ハハハッ。君、サイコーだね! 俺、今、最高に気分がいいからこれあげるよ!」


そう言って、男はいつの間にか手にしていた光る何かを少年に向かって放り投げた。


「!!」


直江が少年の身体を守るように抱き込むのと、少年自身がそれをキャッチするのはほとんど同時だった。


「景虎様!」


「きっと君に似合うよ、それ。じゃあ、また会おう。グッバイ、景虎!」





そして。
男は窓の外にその身をひらりと翻し、消え去った。

建物の中に、静寂が戻る。




「大丈夫ですか? 景虎様」




腕の中で小さく身じろぎした少年を覗き込む直江。
このまま何時間だって、何日だって何週間だってこうしていたかったが、そうもいかないらしい。


「離せ。直江」


「……はい(しぶしぶ)」


「おまん、それ!!」


堂森の驚きの声と共に。






ジャラララッ







少年の手から零れ落ちたそれは、真紅の輝きを放つ首飾り。




「空海の涙…」




ぼそり、と誰かの感嘆の呟きが聞こえた。





ファイル8・終
千秋、設定上緑の目になっちゃいました☆
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