コラボ小説

□迷探偵を起こさないで 2
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「な、直江君?(とうとう、理性の限界か??)」


「ちょ、直江?(きゃ、野性的♪)」


声色は慌てているが、どこか嬉しそうな2人を尻目に、直江はその大きな身体に見合わない敏捷な動きでもって建物の外に飛び出した。






「早く取り入れなくては、洗濯物が濡れてしまう!!」







「………………ねっ? 言ったでしょう、博士。彼を、一般男性と同じ括りにしてはだめだって」


「むう。わしにもまだ読めない事があるという事じゃな」


ドドドッと去っていった助手の後ろ姿を見送り、博士と秘書はため息…ではなく、新たな研究対象を見つけ、意欲を燃やしていた。








一方。
熟練の主婦かと見まごう程のハイスピードで洗濯物を取り込んでいた直江は、すぐ下に流れる川岸に光る何かを見つけ、首を傾げた。


「?」


両目2,0の驚異的な視力でよくよくそれを見てみれば…………


「!! 人 !!!」


白い手が、かろうじて水の流れに逆らって川岸の草を掴んでいるのが見え、直江は手にしていた洗濯物を濡れた地面に放り投げ、斜面を駆け降りた。


「おい。大丈夫か? しっかりしろ!!」


見れば、それがまだ幼い少年のものだと分かり、直江は白い手をぐっと力強く掴み、岸に引っ張り上げた。


「しっかりしろ! 聞こえるか?!」


青白くなった少年の頬を数回叩く。
まるで死人のように冷えて、色を失った唇がうっすらと開いたのを確認し、直江は安堵の息を吐いた。


「……っ……い…」


「もう大丈夫だからな」


そう言って、直江は少年の身体を抱き上げる。
力を失った少年の身体は予想以上に軽く、直江をひどく驚かせた。
大人の男にはない、成長期の少年独特の頼りない手足。華奢な骨格。
仰のいた喉仏が上下する姿に、思わずごくりと唾を飲み込む。
ゆっくりと湧き上がってくる何かは、少年から視線を外す事を拒んだ。


「ん…」


しかし。
苦しそうに息を吐く少年の表情にハッと我に返り、直江は慌てて頭を上げた。


「こんなに身体が冷え切って…。早く暖かい場所に行こうな?」


答えないと分かっていたが、直江は力付けるように少年にそう声をかけた。


「……ナ……エ」


答えるはずのない少年からの言葉に、直江はえっ? と急いで耳を澄ませる。


「今、何て…?」






「…ナ…オ、エ…」







ファイル・2 終
井上○のか先生、大好きです。今、いずこに???

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