星矢DEドリーム

□花の咲く午後2
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「遅かったわね。何やってたの? あんたの景品、もらってきてあげたわよ」

「何よ、これ?」

「バーベキューセット。彼氏とでもやって、だってさ」

「ケンカ売ってる? ねえ、確実に売ってるわよね??」

「わたしじゃないわよ。幹事の彼が言ってたのよ」

新郎側の幹事に軽く睨みを聞かせておき、南はため息と共に深々とイスに腰かけた。

「なになに〜。どうしたの?」

「別に」

「何よそれ。あんたはどこかの不機嫌女優か?」

「態度はともかく、あの若さは欲しい」

ついさっき、強盗を捕まえたのだとは口が裂けても言えなかった。
イマドキ、そんな事くらいで…と思われがちなのだが、「俺より男前な彼女はいらない」と言われてフラれた経験があるだけに、慎重にならざるを得ない南だった。
軽いトラウマにすらなっている。

「…変な男に会ったの」

「ナンパ?」

「……もう会う事もないと思うけどね」

日本語はやけにペラベラだったけど、どう見てもチャラ男な外国人俳優くらいにしか見えない。
もしくはモデル。じゃないとあんなに綺麗な顔立ちと引き締まった身体をしているわけがない。

おっさんが見たら、道場に連れてこいって言ってうるさいだろうけどな…。

父親の太郎の事を思い出し、南はげんなりとなる。
太郎は体格のいい人間がいると、それが老若男女問わず弟子にしたがる頭のイタい癖? があった。
しかもそんな武道バカの太郎は、3人いる南の兄達も同じように武道バカに育ててしまい、暑苦しい事この上ない。
奇跡的に全員が妻帯者で子どもにも恵まれていて、汗くさい体育会系の男でも結婚ができるのだと、弟子達の希望の光となっている。

「目の保養にはなったけど、チャラ男は問題外だわ」

「?」

一人ごちる南に、知美はわけが分からず首を傾げるだけだ。



そして。
二次会は歌やビデオメッセージでの祝福に続き、酔った新郎の友人が全裸になるパフォーマンスで佳境に入り、めでたく夫婦になった2人の挨拶で締め括られた。

「最後に、汚いもん見せられたわね…」

全裸になっても顔色一つ変えなかったのは、南の職場の仲間達のみ。
仕事柄、年齢は違うが毎日何十人と見ている男性のヌードだ。
20代前半の後輩も、目の前の席で繰り広げられるストリップショーを、メールを打つ片手間に眺めていた。
「きゃー」という反応が欲しかった新郎側としては、予想外だろう。
新婦は大爆笑だったが。

「さて。帰りますか」

「そだね。車、乗ってく?」

「いや。旦那が迎えに来てくれるから」

「そ。じゃあね」

「早くあんたも落ち着きなよ! 仕事は結婚してくれないわよ」

「余計なお世話。またね」

軽口を叩き合うのはいつもの事。
会場を出て、駐車場のある地下に向かうため、エレベーターの前まで歩く。
こんなフォーマルな場でしか履かないヒールを早く脱ぎたかった。

「帰りにビール買って帰ろうかな」

三十路を超えた者同士の二次会は、次の三次会に繋がる確率はほとんどない。大体が既婚者だからだ。

やってきたエレベーターがチンと音を立てて開く。
中は無人で、南は軽いステップで乗り込む。が。

「!」




次の黄金さんは誰でしょうか??
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