コラボ小説

□夜叉衆100%☆伝説・壱
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時は戦国。世は地獄。
そうは言っても、現代日本も充分、地獄。
格差社会に食品偽装。残留農薬にイケメンパラダイス。
いやいや、それは地獄じゃなくて極楽だよ、あんた。

てなわけで、ここは街の外れの忍術学校。
戦国の世に通用するエリート忍者を養成する専門学校なそこは、卒業生が最先端。100%の就職率を誇っていた。
就職先は様々で、め組の居候のお庭番やら、表で晴らせぬ恨みを裏で晴らす、必殺○事人。果ては死んで屍拾う者なしな、隠密○心まで、各種様々な分野に渡っていた。
(これで大体、管理人の歳がバレますね…)
そんなジャ○ーズ養成所ならぬ、エリート忍者養成所に、深夜、訪れるのはやんごとなき身分のお方。


「夜分の訪問、平にご容赦を」

淡い蝋燭の明かりの下に身を潜ますのは、お付きの者に伴われた華奢な影。
すっぽりと頭を覆う純白の着物の下から覗く手は、夜目で見てもぬけるように白く、たおやかである。

「こんな遅くに、一体どのようなご用向きですかな?」

そう尋ねるのは、白い白髪をたずさえたハゲ頭の老人。
気楽な年金生活、たまに来る孫に小遣いをせびられるのが唯一の生きがい…なんて、イマドキ老人では決してないその男こそ、忍術学校の理事でありながら、日本屈指の伝説の忍・色部であった。
その卓越した忍のワザと、圧倒的なカリスマ戦術でもって、一代でこの学校を設立した人物だ。

ようはまあ、スッゲーじいさんってとこだ。

「共の者も1人しか付けず、このようなところまで…。よっぽどの事情がおありなのかな」

「さすがは色部殿。お話しが早い。すでに城の中には敵方の密偵が息を潜め、若君のお命も風前の灯…。殿は我に若君を城下に逃がすよう密名を下されました。が、一介の町人の家に身を潜めるには、いささか心もとなく…」

息せき切って、ここに来るに至るまでを語り、そのまま言葉に詰まった共の侍に、色部は大きく頷いて見せた。

「ご安心なされよ。ここはまだまだ一人前ではないが、未来の日本を影から支える忍達の住処。若君をお預かりするのに、これほどうってつけの場所はござらん」

「おお! なんとも心丈夫なお言葉!」

思わず肩を震わす侍。
色部はもう一度大きく頷いて見せると、すっと右手を上げた。

「!」

瞬きよりも早く、その部屋の中に滑り込んで来たのは4つの影。
音もなく気配もなく、煙のようにゆらりとしたその現われ方に、共の侍の目が輝く。

「おお。これは!!」

「お前達。話は聞いておったな?」

後ろを振り向かないまま、色部が尋ねる。

「はい。お師匠様」

「確かに」

「御意」

「ターミネーター」

4人分の返事(最後の返事は、幻のマンガ家・岡田あ〜○んをリスペクトする者にしか分からないので、後に説明しよう)を確認した色部は、着物の下に隠れたままの人物に、安心させるように微笑んだ。

「この者達4人は今から若君の僕。命に代えてもその身をお守りする事をお約束いたしましょう」

「なんと、頼もしい!」

目を潤ます共の侍の後ろで、微かな衣擦れの音。

今までずっと黙ったままだった若君が、すっと優雅な仕草で被っていた純白の着物をはだけさせた。

しゅるり…

現われた美貌に、部屋の中の空気が変わる。
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