コラボ小説

□迷探偵を起こさないで 8
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世紀の瞬間。
居合わせた大人達はただただ息を飲む事しかできなかった。





「そ、そんなバカな…」


「いやあ、確かに。だが、しかし!」


驚きで呆然とする大人達に反し、不敵に笑うのは黒髪の少年。


「どうですか。C723号の手口、確かに見破ったでしょう?」


その言葉通り、少年は実に見事に、そして鮮やかに誰もがなし得なかったC723号のトリックを見破ってみせた。
それも意外な程に簡単に。


「さすがは探偵じゃあ。上杉景虎だったな? あっぱれあっぱれ!!」


堂森は恐れ入ったと少年に向かって惜しみない拍手を送った。
それにつられるように、直江が。中川が。綾子が拍手を送る。


「すごいわ、景虎!」


「見事じゃ」


「景虎様っ!! (うっとり)」


口々に褒め称える大人達に囲まれる少年だったが。





「ふんっ。そんなものは認められんね」


「編集長!」


異を唱えたのは、編集長の芥川だった。
眉をしかめ、仏頂面で少年をギラリと睨み付けた。


「何でじゃ? この少年の手口だとムスターファ氏のトラップを破り、烈命星を手に入れる事ができる。これ程見事に見破って見せたのに、他の手口があるとでも言うんか??」


「これはあの時、C723号が使った手口だとは分からないだろう?」


「何だと?!」


声を荒げたのは直江だった。
こんなにも見事に、華麗にかつ優雅にトリックを見破った景虎様を侮辱するなど…。
もし直江が殺人サイボーグなら確実に今、この場で死人が出ていただろう。
直江の目から発せられる殺人ビームのせいで。



しかし、彼は赤目の獣でも今空海でもないただの妄想好きの景虎命の男でしかなく…。


「わたしはこんなもの、認めないからな」


「卑怯だぞ! 懸賞金が惜しくなったのか?!」


「そうじゃ。どう見てもこれはあの時、C723号が使った手口じゃて!」


「それを誰が証明する?」


「っ!」


少年が暴いたトリックを本当にC723号があの時使ったのか?
それを証明できるのは世界でただ一人。C723号本人しかいない。
しかし。
C723号がこの場にいるはずがない。


「とにかく。はっきりとした証明ができない以上、わたしは認めないからな」



「何と横暴な」





思わず中川も眉を潜めた。







だが。
断固として認めない芥川を前に、口を開いた男がいた。






「わたしが証明しましょう」






「えっ?」






その声の主を振り返り、堂森が目を見開く。


「葛城、おまん…」


皆が注目する視線の先にいるのは、カメラマンの葛城。
さっきまでカメラのシャッターをせわしなく切っていた彼は、なぜか自信満々な笑みで芥川に対峙していた。


「どういう事だ? なぜお前がそんな事を言える? その場にいてC723号の手口を見ていたわけじゃあるまいし」


「それが、見ていたんだなあ〜」


「葛城?」


それまで彼を寡黙な男だと思っていた中川研究所の面々は、すらすらと口を滑らせていく葛城に目を丸めていた。



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