コラボ小説

□迷探偵を起こさないで 4
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視界を埋め尽くすのは、大量の水、水、水!!!




身体の至るところから侵入してくるそれは、高耶の呼吸を奪い、意識も奪っていく。

薄れていく意識の中、必死に譲の姿を探した。

大切な、たった一人の親友。
ツライ時は一緒になって泣いてくれた。
腹が立った時は、一緒になって怒ってくれた。



譲がいない。助けないと!



でも、俺には何の力も無い。
腕も足ももう自分のものじゃないように重くて、動かない。ただ、水の中に沈んでいくだけの弱い存在。







俺はきっと、もう死ぬ。








死なせやしない!!!








不意に、頭の中に響いたのは強い決意に満ちた少年の声。




力がないのなら、わたしに任せたらいい。






誰……?







わたしは、××××。
お前を助けてやろう
さあ。目を開けてごらん…………………………










「んっ……」









うっすらと瞼を開けようとしたのだが、あまりの眩しさにすぐに目をつぶってしまった。



それに真っ先に気付いたのは、直江だった。



「おい、綾子! すぐに博士を呼んでくるんだ!」



イスをひっくり返す勢いで立ち上がった直江は、目を開きかけた少年の肩を優しく叩いた。


「目を開けて。そう、ゆっくりとでいいから…。まだ光に慣れていないんでしょう。あなたはずっと×××の中にいたのだから」


「?」


男の言葉に聞き取れない部分があり、少年は首を傾げながらもゆっくりと瞼を開いた。






「ああ……」







感嘆の声を上げたのは、直江の方だった。
少年の閉じていた瞼から表れたのは、闇よりも深い漆黒の濡れた瞳。
目を開けた瞬間、その顔に表情がのる。
真っ直ぐに自分を見上げて来るその眼差しは、迷いのない純粋さとそれに反する危うさを秘めていて、一瞬で胸を撃ち抜かれた直江だった。







ああ。何て美しい人なんだ。この美しさを前にしたら、人は人でなくなってしまう。






「美しい、わたしだけの獣…」


「…誰だ、お前」


「あなたの犬ですよ」


「??」






奇妙なやり取りの後、すぐに部屋の中に飛び込んで来た美女が、目の前のやけに端正な顔立ちをした男の事を「直江」と呼ぶのを聞き、少年はフッと眉を潜めた。

聞いた覚えのない名前なのに、どこか懐かしい気がするのはどうしてだろうか??



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