☆矢小説

□TO BE WITH YOU(氷河×カミュ+シャカ+○○×△△…?)
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その瞬間。
東京タワーにいた全ての人間は、奇跡を見た。

夜空が金色に輝いたかと思うと、神々しいまでの光と共にまさしく神が光臨したのだから。

「助かった。礼を言うぞ、カミュよ」

「…シャカ。相変わらず派手な登場の仕方だな」

カミュの呆れ半分の声に、シャカは特に気にした風もなく鼻で笑ってみせる。

「ふむ。神に近い男にしては、地味な方だと思うのだか」

いや。充分に派手ですけど。みんなビックリしてあなたの事を写メに撮ったりしてますけど…。あ〜あ。あそこのおばあちゃんなんか、涙流して拝んでるけど。

「何だ、氷河。何か言いたそうだな」

「いえ。別に」

このサイアクのKY男め! 何が神に近い男だ! だったら空気ぐらい読め!!

…とは、口が裂けても言えない氷河。言ったが最後、六道界に墜とされてしまう。

「しかし。まさかカミュが日本に来ていようとは思わなかったぞ」

「お前こそ。何をしていたのだ?」

「フェニックスとかくれんぼをしていたら、うっかり次元の狭間に落ちてしまってな。奴もまさか私が日本まで逃れたとは思うまい」

「かくれんぼ…。それはまた酔狂な」

クールに笑う師に対し、氷河は激しく呆れていた。
全ての聖闘士の頂点に立つ男が、かくれんぼだと? そのまま二度とこの世に帰ってこなければよかったのに!

「氷河…。お前の思考は小宇宙に乗ってだだ漏れだぞ」

「そうですか。それならば話は早い。早くここから去らなければ、一輝にあなたの場所をばらしますよ?」

「むっ。それは困るな。では、また」

そう言って、何もない空間からやって来た聖闘士は、エレベーターに乗って去って行った。

「やる事が派手なのは、計算なのか天然なのか…」

恐らくは後者だと思うが…。

しかし。これで邪魔者は消え去った。
氷河は再びカミュに向き合った。

「カミュ。今度こそあなたに俺の想いをぶつけます」

「氷河…?」

ガシッと両手を掴まれ、いつの間にか壁際まで追い詰められたカミュが、小さく小首を傾げる。
その姿の何と可愛らしい事か。

「カミュ!」

感極まった氷河が、カミュに顔を寄せていこうとした直後。

チーン!

「ほう、地上の人間どももなかなかやるな。こんな立派な塔を建てるのだから。して、誰の墓だ?」

「お前、バカ? 俺はここが墓だなんて一言も言ってねえし」

軽快な音と共に、開いたエレベーターから現れたお気楽な2人に、氷河の高まった小宇宙は一気に砕け散る。

「お前達。何とも珍しい組み合わせだな…。ここで一体、何をしている?」

カミュがその2人組に気付き、目を見張った。

「おお、カミュに氷河じゃねえか。何って、カップルが夜の東京タワーに来るのなんて…」

「わーわーわー。黙れ、カノン。 アクエリアス、わたしはただ人間界を案内してもらっていただけなのだ。決して疚しい気持ちなどもち合わせておらぬ。これは逢い引きなどではなく、立派な社会見学の一環で…」

言えば言う程、言い訳にしか聞こえないラダマンティスの言葉に、一同、呆れる。

社会見学って、お前は修学旅行生か! しかも逢い引きだと? この昭和初期男が!!

ツッコミどころ満載の2人組だったが、どうやらお忍びデートの真っ最中なのは明らかで。

「お前達が何をしていたのかはこのカミュ、何も見ていないから安心しろ」

「アクエリアス!」

滝の涙を心で流すラダマンティスに、やや引き気味のカノン。
そこまで気が回るカミュなのに、どうして隣りで歯がみしている弟子の気持ちには全く気付かないのか?
ある意味、シャカよりも酷い天然男・アクエリアスのカミュ。

続く。


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