☆矢小説

□二つの虹(貴鬼、時々シオン×ムウ)
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「あっ、見て見てムウ様!」
窓の外の景色を見ていた貴鬼が上げた歓声に、ムウは読んでいた本から顔を上げた。

「何ですか、貴鬼」

「ほらっ! 見て!」

ムウの側まで駆け寄って来た貴鬼は、彼の服の裾を引っ張り、窓辺まで連れて行こうとする。

「早く!」

そう言って、大好きな師匠を目的の場所まで連れて来る事に成功した貴鬼は、嬉しそうに窓の外を指差した。

「ほら、見て! 虹ですよ! しかも、ダブルレインボー!!」

「ほう。これは珍しい…」

貴鬼の歓声の意味を知り、ムウはわずかばかりに目を開く。

「きっと何かいい事が怒る前触れですよ、ムウ様!」

「そうですね。きっと何かいい事があるんですよ」

「何だろうな〜。星矢兄ちゃんが遊びに連れてってくれるとか、瞬兄ちゃんがお菓子いーっぱい作ってきてくれるとか!」

貴鬼のそのセリフに、思わずムウの顔にも花のような笑みが零れる。
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