☆矢小説
□ニッポンのこころ(サガ+カノン)
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「なあ、兄貴…」
気だるい昼下がり。
双児宮でしばしのシエスタを楽しんでいた双子であったが、ソファに寝転がったカノンがおもむろに口を開いた。
「なんだ、カノン」
眠気が全身を覆っていたが、愛しい弟の言葉を無視することなく、サガはにっこりと笑って床に広げたラグに身体を横たえたままカノンを見た。
カノンはなぜか昼下がりには似合わないくらい真面目な顔付きをしていた。
「俺、さ…」
「どうした、カノン。言いにくい事なのか?」
「そうじゃないけど…いや、そうなんだけど…」
「……?」
つけっぱなしになっているテレビから流れるのは、アテナの生まれ故郷・日本で古くから歌われている演歌という歌。
こぶし、というやつを回して、義理やら人情、果ては男と女の情愛を魂込めて歌うらしいのだが…生粋のギリシャ人のサガには全く理解のできない歌だった。
星矢や瞬に言わせてみれば、ダッセーの一言だったが。