小説(版権)
□爽秋
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秋晴れの穏やかな休日。
何かすべきことは沢山あるのだろうけど、そんな気になれなくて。
ただ自室の窓から外を眺めてぼぉーっとしていた。
そんな時、突然思い立って、私は愛しいあの人へメールを打った。
To ヒナさん
[一緒に秋を感じに行きませんか?]
返事が来たのはメールを送って3分もたたず。
from ヒナさん
[私もちょうど誘おうと思ってたのよ?]
というOKをあらわす返答。
それから時間や待ち合わせ場所を決めて。
すぐに秋風が気持ち良い外に向かって、家を飛び出した。
【爽秋】
私たちはお互いの家から同じくらいの場所に位置する自然が多い公園を待ち合わせ場所にした。
この人工的に切り開かれた都会にある公園なだけあって、木々や芝生は人工的に植え付けられたものに違いない。
それでもやっぱり自然なことにはかわりなくて、植物から発生してるであろうマイナスイオンが多少なりとも気持ち良く感じられた。
公園は家族連れなどで休日なだけあって賑わっていて。
私たちはその光景を横目で見ながら、少し人気がない端の方の芝生の上に腰をおろした。
「気持ちいい風ね…」
ふと隣を見ると、秋晴れの空を見上げてヒナさんは芝生に倒れ込んでいた。
両腕を上に伸ばし伸びをしたあと、気持ち良さそうに目を伏せている。
陽射しが心地良いんだろう。
そのヒナさんの穏やかな顔に自然と惹きつけられて。
気が付いたらヒナさんの唇に自分の唇が触れるのではないかという距離にまで顔を近付けて覗き込んでしまっていた。