*FF[*
□魔女の騎手なんて怖くない
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所変わってデリングシティ。今や魔女様万歳、パレードやいやいな賑やかさである。
これが何もかも魔女のマインドコントロールのせいだなんて、呆れを通り越して憐れだと彼は思う。
どちらが?そう問われればどちらもと答えるだろうけど。
「そろそろ出番だぜ」
掛けられた声に振り向く。そして最愛の相手にそっと近付いた。
「…人混みは、嫌いだ…」
ぶすくれた調子の声と表情に後から現れた人影がクスリと笑う。
「今は我慢、な?俺たちの望みを叶えるためによ」
「分かっている。失敗は絶対にしない。」
そう、全ては自分たちだけのために…!!
「悪いな。今はまだここを通す訳にゃいかねぇんだ」
あるとは思っていたが、やっぱりあった魔女の暗殺。
「あぁ。俺たちの目的のためにまだ殺されては困るんだ」
独特なファッションの魔女の前に庇うように控えているのが一対の黒と白。
「スコールはんちょ!サイファーはんちょも!」
「ほら見ろ、やっぱ生きてピンピンしてんじゃねぇか」
「当たり前だ。サイファーとイチャラブするまで死ねるか」
喜色満面のセルフィと思っていた通りと呟くゼルと後ろに続くキスティとアーヴァインを一瞥してサイファーは鼻でせせら笑う。
「あん?誰かと思えばヘタレ野郎じゃねぇか」
「あ、あれ?君たちは覚えてるのかい?」
信じられないものを見るようなアーヴァイン。
「当然だろ。俺を誰だと思ってる。てめぇみたいな地味なのは俺ぐらいしか覚えてねぇよ、アーヴァイン」
(アーヴァイン?悪いな、覚えてない…)
ぶっちゃけると必要のない事柄。事実サイファーも、本人を目にやっと思い出したくらいだ。
スコールに至っては、エルオーネかサイファーが関わっている事以外は記憶が曖昧だったりする。
「だが、ここから先は通す訳にはいかないのは変わらない」
「まぁ、昔のよしみで半殺しで勘弁してやるよ」
黙って白いガンブレードを(ライオンハート)構えるスコールに、ニヤリと人を食った笑みで肩に担ぐハイペリオンを二、三度降るサイファー。
「いやいやいや、そんなガーデンきっての最強最凶最恐のダブル問題児がコンビ組んだら勝てる訳ねぇよ!!」
「根性だせや、チキン」
「というか何でライオンハートなんて持ってるの!?反則じゃない!!」
「貰えるものは貰っとけとサイファーが…」
「大体なんで魔女になんて付いてるのさ!?」
「そんなのは決まっている」
「「俺たちの俺たちによる俺たちだけの崇高な目的のためだ」」
『なっなんじゃそりゃぁー!!?』
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