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ENDofEND


 〜もしも君が死んだなら〜


『もしもの時のため、書きたい者は遺書を書くように』

SEED試験に合格してすぐにこのような事を言われる。

「つーかよぉ」

珍しく早く終わった職務に、久しく取れなかったゆっくりしたブレイクタイム。
コーヒーカップを片手にポツリとサイファーが呟いた。

「頑張って合格した新人を突き放すようなもんだよな」

「あぁ、遺書か?」

ソファーに座る彼にダイニングで自分の分のコーヒーを淹れていたスコールが振り向く。

「そんなもの気にするあんたじゃないだろう?」

ひらひらと、配布された紙。殆どが孤児のガーデン生には無用にも思えるそれ。

「気分だよ気分。お前は書いたのか?」

「仮定は嫌いだ。もしも、なんてその時に考えればいい」

「お前らしいな」

「遺書なんてものは見て泣く人がいる奴だけ書けばいい」

「お前のために泣く奴はいるぞ」

「俺には必要ない」

キッパリ言い切るスコールには特に卑屈や完全な拒絶があるわけではない。

「死ぬ時は死ぬ。後悔ならその時でいい。どうせ大小、後悔はするものだ」

「違いねぇ」

「だからあんたは俺宛に書かなくていいぞ?」

「何?俺のために泣いてくれねぇの?」

「ああ。あんたが死んでも俺は泣かない」

「愛が感じられねぇな」

「そうか?」

「そうだな」

「別に…、あんたが死んだら、泣く暇もなく首を掻っ切ってやるだけだ。それとも心臓を貫いた方が良いか?」

「…」

「あ。両方の方が確実か。安心しろ、失敗はしない。そうだな、意識が切れるほんの一瞬前に…」



涙の一粒ぐらい零してやろうか



「前言撤回、いいか?」

「ん?」

「俺ってば目一杯愛されてるわ」

「ふん…」

「なら俺は…、そうだな、もしお前が死んだら、泣いて泣いて涸れるまで泣きまくって。お前の欠片を全部集めて、そうしたら一緒に死んでやるよ」

「俺はバラバラ死体決定か?」

「違ぇだろ」

「分かってる」

「なぁサイファー」

「あん?」

「俺、あんただけに遺書、書こうか?」

「クク…頼むわ」

まぁその前に死なせねぇけど?


まだ死ぬ気も、離れる気もないのだから。

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