書物の欄 参

□年末大掃除
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「あ!そろそろ夕飯の買い出しをしてこないと!まだ掃除も終わってないのにーーー!!」


秀麗の言葉に、今日の仕事を思い出した面々。各々の顔が青くなっていく


「お嬢様。早くしないと蕎麦が売り切れてしまいますよ」

「それなら少しだが菜(しょくざい)を持ってきた。これで足りるかどうかわからないが」

「ああ、それなら私も。ずっと持っていたことを忘れていたよ」

「なら私は掃除をいたしますわ。秀麗様は年越しの準備をなさってください。ほかの皆様はお掃除を手伝ってくださいますね?」


秀麗至上主義の香鈴はてきぱきと提案し、有無を言わせない風を漂わせて行動に移った。それに反論することも出来ないまま、しぶしぶ掃除を始めた男性陣。結局終始尻に敷かれていただけだった

数刻経ち、掃除・料理が全て終了し邵可も帰ってきた頃


「これはこれは絳攸様、藍将軍。たいしたお出迎えもできず申し訳ない。それにこんな散らかっているときに」

「いえ。掃除の手伝いにと思ってきましたので」

「それはありがたい。では、年越し蕎麦でもいただきますか」


そう、時刻はすでに年越し15分前。夕食には少し遅い時間だった

――ゴーン ゴーン


「あら。除夜の鐘ね」

「秀麗様。今年は大変お世話になりましたわ」

「いいえ。こちらこそありがとう、香鈴。絳攸様と藍将軍にもお世話になりました」

「私たちも秀麗殿にはとてもお世話になったね」

「来年もお世話になります」

「こちらこそ」

「邵可様にも大変お世話になりました」

「いえいえ。絳攸殿には弟も世話になっているね。来年もよろしくたのむよ」

「さ、みんなでお蕎麦食べましょう。冷めちゃうわ」


それから6人は卓(テーブル)を囲み蕎麦にありついた

――ゴーン ゴーン

107回目の鐘がなり、時計の長針と短針が真上で重なった。それから最後の1回と秀麗の声も重なった


「明けましておめでとう、みんな」



Fin.
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