書物の欄 参
□年末大掃除
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「ああ、これをやる。雑巾が足りないと困ると思ってな」
そう言ってポンッと秀麗の手の上に雑巾代わりを載せた。それを見た静蘭と楸瑛は苦笑をこぼし、秀麗は絶叫をあげかけた
「こ、絳攸様。これは……」
「だから雑巾代わりだ」
普通に絹じゃないですかッ。どうやってこれで拭けと?売った方が使い道あるじゃないですか
そんなことを心で考えていた秀麗だった。それでも人からもらったものは売らないからマシだ
「最近主上に感化されてきたのかい?」
「? どうやったらあの世間知らずに感化されるんだ」
「そうか……」
素でやってしまった親友にため息が出そうにだった楸瑛だった
「そういえば、主上と申しましたが彼はまだ秀麗様に意味プーな贈り物をなさっていますの?」
今まで大人しく聞いていた香鈴が訪ねた。それを知る全員が固まったのは言うまでもない
「えー……。最近はあまり変なのは無い…と思うわよ。最後にもらったのは……。……溶けかけた小さな雪だるまかしら」
「まだ秀麗様に迷惑をかけるようなものを贈られてますの?まったく、いつになったら成長なさるのかしら」
「アハハ……。でもかなりマシになったと思うわよ」
「そうですね」
秀麗と静蘭ががんばってフォローはするもののあまり効果はないようだった
「そういえば黎深も似たようなことを仰ってたな。『あの鼻垂れ小僧は気の利いた贈り物の1つも出来ないようだね。まあ、贈り物を届ける前に全て灰にしてやるが』みたいなことを」
実際に黎深を知る人たちは「本当にやりかねない」と、肝を冷やすばかりだった。それに対し香鈴は温い、とでも言いたそうな表情だった
「もっと徹底的にやるべきですわ。もしくは側近の方々が丁寧に指導なさってほしいです」
「ハハハ…。それは申し訳ない」
それでも足りないとはどれほど主上に対して恨みをもっているんだ
そう思わざるを得ない男勢だった。しかし秀麗は
香鈴も面白い冗談を言うようになったのね
などと、天然っぷりを発揮していた