リクエスト 1

□流れ星だけが知っている
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その日の月は新月で、ほとんど闇夜だった。
おかげで星がよく見える。
天人たちが持ち込んだ便利な物共のおかげで、江戸に完全な夜はなくなり昔に比べると見える数は
格段に減ったが、今日は天気もよく雲も出ていないので、一応天の川ぐらいは見えた。
丁度季節も暑くもなく、かつ寒くもない。丁度ブラブラ歩くのにいいぐらいだ。
銀時は、自分の家の窓からジッと外を眺めて、ふと思い付いた。

 そうだ。土方にこの星空を見せてやろう

土方十四郎は坂田銀時の最愛の恋人だ。
武装警察などという物騒な仕事に就き、目付きが悪く瞳孔は開き気味で、その上短気で喧嘩っ早いが、
その仕事能力はずば抜けて優れており、鬼の副長として有名な人物だった。
しかしそんな彼も銀時に掛かれば、ただのちょっと強がっちゃってるかわい子ちゃん、
で済んでしまうところが恐ろしい。恋は盲目とはよく言ったものだ。
仕事が最大の恋敵、と言うほど彼は勤勉だ。きっと今頃仕上がらない書類を前に、部屋中が煙で
見えなくなるほど煙草を吹かして黙々と手を動かしているのだろう。
(実際、昼間、デートのお誘いに行くと、灰皿を投げつけられた)

 やっぱりそれって体によくないと思うんだよね

銀時はそう勝手に理由付けて、屯所に土方を強奪しに向かった。
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