リクエスト 1

□君に会うために 2
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結局料理の味は全くわからず、大鳥の愛車のジャガーで屯所に送ってもらった。
挨拶もそこそこに屯所に入ると、そのあまりの顔色の悪さに近藤が心配し、とっとと
風呂に放り込まれ布団の中に押し込まれた。
滅多にそんな早い時間に寝ることなどないのだが、あまりにも精神的疲労がひどすぎて、
あっという間に夢の中の住民になった。





「や・・!ぎ・・・っ!!」

自分の叫び声で土方は目を覚まし、ガバッと起き上がった。
汗が噴出す。
自分が今どこにいるのかさえわからずに、土方は周りを見渡した。
ここは自室だ。時計を見るとまだ1時を過ぎたころだった。
心臓がバクバク煩いほど鳴っている。頭の中もガンガンと音が響いていた。
目の前に飛び散る鮮血・・・。あれは夢だったのだろうか?
一気に今まで見ていた映像を鮮明に思い出し、土方は体が震えだすのを
止める事が出来なかった。

 会いたい・・・

土方の中はそれで占められ、彼は何も持たず、愛刀のノサダさえ置いたままで
真夜中の帳の中、月明かりだけを頼りにひたすらに走り続けた。
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