リクエスト 1

□月下狂乱
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月がとても綺麗な夜だった。
連日の激務のおかげで土方の部屋は煙に占領され、自分でもヤバイかと思うほどだ。
睡眠不足も極限までいき、今もほとんど条件反射で動いているようなものだった。
このままでは能率が上がらない。
少し気分転換するか、と着流しに着替えて護衛を、と言う隊士を振りきり、愛刀を
片手に煙草を買いに出た。
月を見ながら川に沿ってゆっくりと歩く。
忙しすぎて周りの景色など見ている暇などなかったから、いつの間にか季節が
移ろっている事にこの時ようやく気付いた。
河川敷は数多くのススキが覆い尽くしている。
川面には月が映りユラユラと揺らめいていた。幻想的なその景色にホォッと溜息を吐く。
しかし、そろそろ戻らなければ心配されるだろう。買ってきた煙草を開けて咥えて
時計を見て確認すると、もう屯所を出てきてから30分ほど経っていた。
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